これから東南アジア各国で新たに海岸線で海老養殖事業を展開することが困難になる。
今回 津波被害を受けた各国の海岸においてマングローブやサンゴ礁の自然の防御が全くない地域では被害が大きかったと考えられ始めている。タイのSurin島はサンゴ礁に取り囲まれており津波の衝撃をサンゴ礁が吸収し2,3のホテルが被害を受けたが、ほとんど死傷者を出さなかった。津波がサンゴ礁にぶつかり波しぶきを上げたとき、ほとどの住民は辛くも安全な場所に逃げることが出来たとタイの海洋環境専門家のThon Thamrongnavasawadi氏は話している。また同氏は、マングローブの森はかっては陸と海岸を遮断していた。現在、その場所には、エビの養殖場が出来ホテルが建ち並んでいる。もしマングローブの森があれば犠牲者の数は少なくできたであろうと話している。このような今回の津波に対する見解を基に早くもインド政府は、マングローブの森やサンゴ礁の海岸から1,650フィート以内の全ての開発を禁止する条令を再検討しているといわれる。
津波による養殖海老の直接的被害は比較的少なかった。
12月下旬より1月は前半は、東南アジア各国の養殖海老は水揚げ時期がほぼ終了しており、養殖池の中には海老はほとんどいない時期である。このため実際的な被害は確かに少なくその意味ではこの一年で養殖池の中に海老が一番少ない2から3週間のタイミングで津波があったのは不幸中の幸といえる。
海岸線にある養殖場は被害を受けているため今回の津波被害を受けた各国については今年前半は生産減が予想される。
池の土手などが決壊している池は当然として、壊れなかった池でも海老の水揚げが終了した後に今回の津波が押し寄せ泥などを被っていることも多いと考えられる。このような池は稚海老を入れる前に徹底した整備が必要となる。このため今年前半の海老養殖は今回の津波被害のあった各国で稚海老の投入の遅れによるかなりの生産減が予想される。
海岸線より離れている内陸部にある池は直接被害は受けていないが海水の導入運河や導入施設に影響が出ていると考えられる。
最近の海水養殖のブームを受けインド南部などでは相当内陸部まで海水を引き入れる施設を設置している。このため養殖池自体は大丈夫でも施設の修理が終了するまで生産が遅れたりまた海水養殖で謳っていた池が淡水養殖に変わったりする可能性など慎重に見極める必要がある。
ハッチェリー(稚海老孵化業者)が被害を受けている場合も多い。
養殖海老の基となる稚海老はハッチェリーと天然の漁獲によりまかなわれる。ハッチェリーは稚海老の健康的な孵化 成育を図るために新鮮な海水を必要とするため海岸線に施設を作ることが多い。このため今回の津波で被害を受けたハッチェリーも多く稚海老の安定供給に一部不安感が出ている。
天然稚海老にも影響が出ていると考えられる。
河口やマングローブ帯などで漁獲される天然の稚海老はインドガンジス川のデルタ地帯などで非常に多く、漁獲され、養殖業者に販売されている。これらの稚海老は12から1月に産卵されたものが1月から2月に獲られることが多い。この稚海老は非常に環境変化に弱く、泥など舞ったりするとえらがつまり酸素不足となったり温度変化 塩分濃度変化にも弱い。このため今回の津波で稚海老はかなりの割合で斃死したと予想される。このことはインドの3割を占めるカルカッタ地区の養殖がしばらくフル生産できないことを意味する。それ以外の地区においても影響がでると予想される。
天然海老の資源にも影響がでることがありえる。
上記天然の稚海老が斃死していると予想すると今年夏以降の天然海老の資源についてはかなりの減少の可能性を考慮に入れる必要がある。
天然海老を漁獲するための漁船に大きな被害が出ている。
上記天然資源の問題以前に天然の海老を漁獲する漁船がインド タイ ミャンマー インドネシアにおいて大きな被害を受けている。このため天然海老の原料供給は前半はこの漁獲のためのインフラ被害の影響 後半は資源減少の影響のダブルパンチで一年中厳しい状況となろう。
原料搬送のインフラに被害がでている。
養殖海老 天然海老ともに水揚げされた後は工場に搬送されるが養殖池は海岸に近く 漁港は当然ながら海岸にある。このため道路 輸送船が被害を受けている現状より搬送が困難になっていたり可能だとしても時間がかかるため鮮度劣化等の問題が発生しやすい。
- 生産状況変化による冷凍海老の供給と相場について
上記の1から9の生産状況変化に伴い冷凍海老の供給と相場はどのような影響を受ける予想を行ないました。まず前提として以下の4点を充分に考慮しなければなりません。
アメリカの冷凍海老に対するアンチダンピング問題が12月頭に一応の決着を見て12月よりアメリカの積極的な買いが始まっている。
日本において21/25より大型のブラックタイガーは過去10年間の最安値圏内にある。
1から3月はBTに関しては生産の端境期にあり供給が少ない。
世界的なシーフードに対する需要は増え続ける
これに加えて今回の津波被害を考え下記のような状況を予測します。
養殖のBTに関して1から3月の稚海老の投入が遅れ4から6月の水揚げが減少して日本の春儒に対して充分な供給ができない。
養殖インフラ設備に対するコストを製品価格に転嫁してくる
天然海老についてもバナメイとバッティングしない21/25より大型のサイズに関しては年間を通じて供給が不足する。
アメリカの買いは21/25より大型のサイズに関してインドで充分な買い付けができない分をベトナムの買いでまかなう傾向がでる。
ヨーロッパの買い付け量は上昇傾向が続き日本サイドが買い負ける状況が増える。
上記の状況により養殖 天然共に産地価格が上昇し、特に21/25より大型サイズについては5月まで上げの状況が続く
産地価格は26/30より41/50までのサイズもバナメイ海老の生産が本格化する6月まで強含む。
産地価格は51/60より小型についてはバナメイ生産がタイ ネシアで見込めるため1月はやや強含むものの2月後半(旧正月終了後)より横ばいになる。
輸送インフラの悪化などにより原料鮮度が落ち品質のばらつきや品質低下する商品が増加する。
海水養殖製品製造のための「本当に100%海水で養殖された原料」の確保が難しくなり海水養殖とは名ばかりの製品が増加する。
夏以降 21/25より大型の海老と41/50以下の小型の海老の価格の二極分化が進む。
日本国内においては為替が100円を切らない場合は今年一年は冷凍海老は年間を通じて上昇トレンドとなる。