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水産物 医食同源
冬将軍にゃあ、「ナベ奉行」のあったか裁きが一番でぃ!/2-10
掲載日:2008年04月23日 
 
 まいど、まいど、イダテンのゲンさんです!
 いやあ、お客さん。みなさんのところに食材仕入ドットコムさんからのメールは届いたかい? こちとらゴールデンウィークの書き入れ時に向けて、円高還元☆海老の大セールスをはじめ、さまざまなサービスをはじめたところだよ!
 今年は長い休みがとりにくい一方、近場の国内旅行のお客さんが見込めるもんで、みなさまにとっちゃかえって都合が良いはずさ。
 あっしらエビの目利きが、世界中からかき集めてきたブラックタイガーやバナメイ――円高前の高値で買い付けてきたもの破格のお値段でお売りしようってえんだから、ぜひともこの機会に原材料費を浮かしていただきてえもんだ。
 また、もっとも美味しい海老料理の素材と賞される、天然花海老もオススメだ。
 この『鮮度勝負 天然花海老』は、漁獲された花海老を氷のみで締め、一切水付けをする事なく有頭のまま工場に搬入し、その日のうちに処理してから、特殊な凍結方法により天然海老の味を封じ込めたものだ。天然海老ならではの風味がぎっしりと詰まった逸品だよ!
 食品原材料の値上がりが続く昨今、こちらもネジリハチマキでみなさんへのサービスを真剣に考えている。
 どうぞ、みなさん! ご注文のほど、お待ちいたしやすぜ!
   
  すいとんは高級料理の完全食品でい!
  写真
   さーて、前回は「はも鍋」と贅沢をしたもんだが、今回はぐっと質素に「すいとん」と行ってみよう(もっとも昨今は小麦粉などの高騰で、すいとんが高級料理にならないとも言えないけどな〜)。
 なに、ゲンさん。すいとんなんていうと戦時中の食べ物のない時代を思い出すんじゃないかって? バカヤロー! まったく、近頃の若い連中ときたら、ちょっと自分たちより年上を、みんな戦前生まれにしやがるが、こう見えてもあっしは戦争体験のない世代だよ。
 まあ、そうは言っても戦後すぐの時代ってえのは、まだ日本も貧しかったもんで、あっしも水っぽいすいとんを食べた記憶がちょっとだけある。だが昭和ヒトケタの人たちが言うように、「すいとん」というと、顔をしかめて嫌がるほど不味かったかどうかは記憶にないな・・。
 食べ物ってやつは、何かイヤな思い出があったりすると、それがトラウマになって口にしなくなる傾向があるもんだから、それも致し方なしだがね。
 しかし、本来すいとんはレシピさえ工夫すれば十分美味しく食べられ、しかも一皿ですべての栄養素が網羅される完全食品だ。
 ともかくも、ここはひとつ飽食の時代の健康食として、すいとんのレシピを試してみては如何どうだろう。
   
 
究極の健康料理「すいとん」の作り方
レシピ写真1.
すいとんの元
今はこんなものが売っているんですな〜。

2.
レシピ写真4人分、小麦粉400gに、塩少々、水270ccが目安です。
水(orぬるま湯)を少しずつ入れて、粉をまとめていきます。

うどんや、パスタ、パン作りのように熟練した技術はいりません。

レシピ写真

はしでまとめながら、こんな感じになっていきます。
水をチョロチョロ入れていきます。最後は手でまとめて、1時間くらいねかせておきます。

3.
ダイコン、ニンジン、キャベツ、サツマイモ、ネギetc。
野菜は好みのもので十分。意外にサツマイモはオススメです。彩りを綺麗にすると味も栄養価も高まります。
レシピ写真
4.
肉も好みのものを。豚が一番無難です。初めは海鮮ものは避けた方がベターです。
鍋にコブを入れて出しをとります。
レシピ写真
5.
最初に煮えにくい大根やニンジンをいれ、時間差でサツマイモ、肉を入れて煮込みます。

そして、お待ちかねの「すいとん」を入れましょう♪
10分ちょっとで火が通ります。

レシピ写真
6.
最後にネギ、キャベツを入れて、醤油、いしる、味噌などで味を調えます。
レシピ写真
レシピなイラスト
※すいとんのモトは決して揚げないでください。
   
  鍋もののルーツはすいとんにあり?
  写真 戦中派には不人気のすいとんだが、実はこの料理――すでに室町時代には民衆の間で食されていた記述のある歴史ある食べ物だ。まあ、前述のレシピを見ればわかるように、すいとんは小麦粉を水と少量の塩で練ったシンプルな食材だ。小麦を粉にする技術さえあれば、誰でも考えるようなものさね。
 遠くチベットにも「スキュー」と呼ばれる、すいとんに似たような小麦食があるそうで――スキューは古い時代に中国から伝わったものとされるだけでなく、日本の小麦食のルーツにもなっている可能性があるとのこと。まあ、餃子の化石が出土した中国が小麦食品の源流になったというのは、ごく自然の成り行きと考えられるだろう。
 ところで、あっしの考えを言わせてもらうと、すいとんからは鍋料理のルーツを見出すことができると思っている。
 文献上から見ると、鍋料理が現在のように大勢で箸をつける形式になったのは、明治維新以降のこと。身分制度のハッキリしていた江戸時代、鍋料理は現在のような囲炉裏を囲んで食べる形式ではなく、お1人さまで各々1人前の鍋を食べていた。それがスキヤキや牛鍋の登場により、大勢でひとつの鍋を囲んで食べる現在の形になったというワケさ。
 それじゃあ、江戸の前に鍋料理がまったくなかったのかというと、それがそうでもない。
 室町時代から戦国時代にかけて書かれた料理書、「四条流包丁書」※1や「包丁聞書」には、鍋物の記述は見当たらないものの、「汁」と「吸い物」に関しては現在より豊富なメニューを見ることができるのさ。
  写真
   この時代、汁と吸い物は明確に区別されていた。「汁」は具だくさんなご飯の”おかず”であり、「吸い物」は淡泊なお酒のお供だったのさ。俗にケモノ汁とされる「たぬき汁」や「うさぎ汁」をはじめ、魚介類の汁など、バラエティに富んだ汁ものが国民食として、この時代食べられていた。あの「太平記」にも後村上天皇がたぬき汁を賞味したとの記述があるほどで、この時代、あらゆる階級で食されていたんだろうな。
 そんな中、我らが「すいとん」は、ご飯いらず。一皿の中にすべての滋養が込められた、この時代の完全食品として人気だったに違いない。
 簡単に作れる料理だっただけに、戦時中に貧弱なレシピによって、良くないイメージを植え付けられたのはすいとんにとっては不幸なことだったというわけさ。
 
   
※1

四条流は烏帽子・直垂をまとった姿で再現し、庖丁と真魚箸(まなばし)のみを用いて、鯉・鯛・鰹など、素材に一切、手を触れることなくさばいていくもので、各地の神事などでしばしば奉納される流派である。

   
  タンパク質タップリの小麦は如何
 

写真 先にも申し上げたように、すいとんは一皿で人間に必要な滋養を摂ることのできる、オールインワンな食品だ。もちろん、その栄養素の源は小麦という、あらゆる穀物の中でもっとも汎用性の高いものによる。
 すいとんの場合、山梨のほうとうや大分の団子汁(だごじる)などに、同じルーツの料理を見出すことができるんだが、ご存知のように小麦ってえのは、それ以外にもパンになったり、ケーキの原料になったりと、あらゆる食材に変化する。そのひとつの要素として、小麦に含まれている「グルテン」という弾力性に飛んだタンパク質があるのさ。
 グルテンとは、グルテニンという弾力に富むが伸びにくい性質のタンパク質と、グリアジンという弾力は弱いが粘着力が強くて伸びやすいタンパク質が融合したものだ。この性質が異なる2つのタンパク質が結びつくと、両方の性質・・・つまり粘着性と弾性を適度に兼ね備えたグルテンになるって寸法よ。
 小麦を粉砕して粉にして使うのは、グルテンを形成しやすくするためなんだが、それがさまざまな料理を生み出していったというわけだな。

 さーて、ご好評いただいた『冬将軍にゃあ、「ナベ奉行」のあったか裁きが一番でぃ!』のSeason2は、いちおう今回で一区切り。もっとも水炊きやフグ鍋、スッポン鍋など、まだまだ取り上げていないものも多いので、いずれSeason3に突入したいところだね。
 次回からは、ちょっくら趣向を変えて「お茶」について聞かせ倒すことにいたしやしょう。
 それじゃ、お客さん。次回をお楽しみに!

 
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