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水産物 医食同源
冬将軍にゃあ、「ナベ奉行」のあったか裁きが一番でぃ!/2-9
掲載日:2008年04月09日 
 
 まいど、まいど、イダテンのゲンさんです!
 いやあ、お客さん。先週の週末は如何お過ごしだったかい?
 あっしは毎年恒例の夜桜見物と洒落込んだが、今年はイキナリ桜が咲いてしまったもんで、ぶったまげたなあ。おまけに九州や関西を飛び越えて、いの一番に東京が開花宣言をしたってえんだから、桜前線もへったくれもあったもんじゃない。
 まあ、満開になったあとは、少し冷え込んでくれたもんで、週末まで桜の花がもってくれた。天気も上々だったんで、花見食材の売れ行きも上々。
 近頃は、食材の価格高騰を筆頭に、株価の下落や円高ドル安など、あっしにとっちゃ頭の痛いことが多かったもんで、花見はちょいとした息抜きになって良かったよ。
 とはいえ、その4月から食材価格の高騰――みなさまのお店もやりくりが大変に違いない。食材仕入ドットコムさんも一部商品の値上をせざるを得ず、恐縮至極だが・・・ただ恐縮していちゃあ商売人失格だ!
 ともかくも、皆様の仕入コスト削減のお手伝いができるようなキャンペーンとして、とりあえず「毎週毎週、カテゴリーごと、まるごと値下げ」などを企画して奮闘中だ。
 みなさま、ご注文のほど。お待ち申し上げやすぜ!
   
  至高のハモ鍋は如何かな?
   寒さも緩み、桜の開花と共に春爛漫を迎えるこの季節。今回の”ナベ奉行”は、ちょいと気張って高級食材「ハモ鍋」とやらを取り上げてみよう。
 ハモは昔から「梅雨の水を飲んで旨くなる」と言われるように、入梅の頃から7月くらいに旬を迎える魚だが、ちょうど今ごろから美味しくなってくる食材でもある。ハモはあの「美味しんぼ」でも”至高の五大鍋”の一角にランキングされた食材だが、鍋の旨い冬場に出回る魚ってわけじゃないんだな(マンガの鍋は「ハモと松茸」という組み合わせだったが、こいつらは旬の時期が必ずしも一致しているわけじゃないから、やや調達に経験が必要な食材といえるかもしれない)。
 ハモは主に関西で食される魚だったが、近年は関東の人間もその旨さに惹かれ、流通や冷凍技術の発達も加わり、スーパーなどでも加工済みのものを見かけるようになってきた。
  写真
   周知のようにハモは小骨が多く、そのままではとても食べられない。こいつを食べるにはイラストのようなハモ切り専用の包丁を使い、<骨切り>と呼ばれる加工を施さないといけないんだ。
 ハモの骨切りは1寸(約3.03cm)の間に24回包丁を入れるのが理想とされる。それも皮一枚残した上で1mmちょいの間隔で切らなければいけないわけだから、素人さんにはとても捌ける食材ではないってことさ。
 世界的にもハモを食べるのは日本人、それも関西地方に集中していたというのも、この骨切りの技術がないと食せない魚だったからにほかならない。
 皮だけ残したハモの身はじゃばら状になり、湯にくぐらせると牡丹の花が咲いたような形になる。いわゆる「ボタンはも」ってやつだ。
 これからレシピをお見せするが、使われてるハモの身はもちろんそいつは加工済みのものだ。昔から初物を食べると病気をしないなんて言うが、スタミナ抜群の「ハモ鍋」を食べて、新年度を乗り切ってみては如何かな?
   
 
至高のハモ鍋
レシピという程のものではございません。加工済みのハモがあれば、すぐに誰でもできます。
イラスト
写真1.

加工済みのハモ鍋セットを用意する。

こちらは京都は登里多祢(とりたね)さんのセット。
まさに至高の鍋といえる逸品です。

レシピ写真2.
鍋に用意されただし汁を入れる。
まだ、解凍されてませんな。
3.
なぜかハモには玉ねぎなんだそうです。具は少なめの方がよいのですが、そこは貧乏性。大根も入れましょう。
レシピ写真

4.
だし汁にタマネギをいれます。
そして、白菜やキノコなどを用意します。結構邪道です。

レシピ写真
5.
うどんも茹でました。豆腐もあります。具、多すぎかな?
レシピ写真
レシピ写真6.
できあがり。
おお〜。確かに切り身が開いて「ボタンはも」だ〜!
   
  京都の奇祭・ハモ切り祭り
   ハモはその姿の通りウナギやアナゴの仲間で、分類上はウナギ目ハモ科と位置づけられる。見た目が似ていることは勿論だが、こいつらは孵化した直後、透明で葉っぱの形をしたレプトセファルス幼生という時期を経るという生態を持っている。アナゴやウナギ同様、生涯に深海と浅瀬の間を往復する習性があり、それこそ蛇のようなスタミナを生まれながらに具えた生き物なんだ。
  写真
   こいつは見た目の通り獰猛で、その発達した歯で何でも食らいつくところから、<食む>が転じて「ハモ」になったという説がある。また、蛇に似た見た目から、ヘビの古名ハミが転じてハモになったという説もあり諸説紛々だ。
 そんな蛇に似た見た目から、ハモ料理の本場・京都は丹波篠山町では、ハモを大蛇に見立てた、<ハモ切り祭り>という奇祭がある。
  小暮画伯の絵「円通寺」 この地は昔からヘビのいる沼地が多く、開墾の際に農民たちはずいぶん悩まされたそうだが、そのヘビを何とか退治したいという願いを込め、姿の似たハモをヘビに見立て、最後には食べてしまう奇祭が始まったというワケさね。
 もっともヘビにしてみれば、もともと自分たちが住んでいた場所に、人間たちが勝手にやってきて追い出そうとしたわけだから、ヘビにしてみりゃ迷惑千万な話だ。
 ともかくも住むところがなくなった沼の主・大蛇は怒り狂い、田畑や人家を荒らしはじめる。困り果てた村人は、毒の入った酒を大蛇に飲ませ、苦しんだところ首を斬ってしまうという、ちょっくら八岐大蛇に似たお話だ。
 ハモ切り祭りのはじまりは江戸中期というから、その頃にはハモがすでに食べられていたことが伺える。三方を山に囲まれた京都は新鮮な魚が手に入らなかったのだが、生命力の強いハモは、運んできても死ななかったんだな。
 若狭湾から京都に向かう、鯖街道が塩漬けのサバを運んだ道なことは有名だが、昔の人が限られた環境で、何とか美味しく滋養のつくものを食べようとしていたことが、ハモ切り祭りからも伺えるような気がするな。
  ハモは若返りの妙薬か?
   ハモは白身で淡泊ながら濃厚な味わいがあって、ほかにたとえるものがない。まさしく鱧※1という文字に相応しい、味わい豊かな魚ってワケさね。
 食べればモリモリと力の湧いてくる、おハモさまだが、そのパワーの秘密はコンドロイチンと呼ばれるタンパク質の一種だろう。こいつは軟骨をはじめ、靭帯や関節の結合組織を丈夫にする成分のひとつだ。
  写真
   コンドロイチンは体内で合成することのできる成分ながら、加齢とともに失われていく。お若い方々は、自分の力でコンドロイチンを作れるが、あっしのような爺さんになると、だんだんその力は衰えてくるもんで・・・ハモの力にあやかって、ぜひ補給をして若さを保ちたいもんさね。
 またビタミンB群のひとつである葉酸も、細胞分裂の時に重要な働きをする栄養素で、そんな意味で若返りの妙薬だ(もっとも、乳幼児や妊娠中や授乳中の女性に特に必要っていうと、この白髪アタマはお呼びじゃないってことになるかな)。
 ほかにも小骨に含まれるカルシウムや、ビタミンAなども豊富なおハモさま。値段はちと張るが、食材仕入ドットコムさんのものは、比較的入手しやすい価格でお分けしている。食材高騰のこの時期、おひとつ如何だろう。
 さーて、時間が来やがった。
 それじゃお客さん、次回をお楽しみに!
 
   
※1

中国や韓国で、鱧の字はライギョを意味する。

   
 
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