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水産物 医食同源
冬将軍にゃあ、「ナベ奉行」のあったか裁きが一番でぃ!/2-2
掲載日:2007年12月27日 
 
 まいど、まいど、イダテンのゲンさんです!
 そういえば、清水寺が選んだ世相をあらわす今年の漢字は「偽」の字だったけど、本年の食品業界は揺れに揺れた年だったなあ。真面目にやっているお客さんの中には、さまざまな偽装報道にワリ食ってしまった方も多かったことだろう。
 加えて原油高の追い討ちが、企業努力ではどうにもならない負担になって、値上げに踏み切ったところも少なくない。かくいうあっしらにしても、海外からエビなどの魚を運ぶ運賃自体が高くつくから、そりゃどうしても楽にはならない。
 昔のCMじゃあねえが、じっとガマンの子であったのが、今年の食品業界だったかもしれねえやな〜。
 ともかく、良くないカードの多い昨今だが、グチなんぞこぼしても仕方ねえ。あっしも江戸っ子のはしくれだ。原価が上がったなら上がったなり――下がったなら下がったなりに、お客さまが要求する以上のクオリティで商品を提供していきやすぜ。なんせ値段も味のうちだからな! 来年もお客さんがたに、じゃんじゃん新しい食材を仕掛けていくよ! 
 ともかくも、この1年、毎度有難うございやした。来年もどうぞお頼み申しあげやす!
   
  「カレー鍋」の原点はカレー南蛮にあり?
  カレー鍋 さーて、今年のシメになる医食同源。前回の火鍋に引き続き、今回も辛いモン繋がりってことで、今流行りの「カレー鍋」とやらを取り上げてみよう。
 流行りモノってこともあるから、みなさんお店ではすでにメニューに入れてるところもあるだろう。一方ではそんなモン聞いたこともない、なんてご仁もいることだろう。
 かく言う、あっしイダテンのゲンさんはどうかというと、昨年はじめたことで知ったというのがホントのところで、それも「ナベ奉行」の連載をしていたから小耳にはさんだワケさね。
 はじめてカレー鍋の話を聞いた時は「何でえ、そりゃ?」と思ったもんだ。このゴマ塩の古いアタマにとって、そんなモンは邪道中の邪道。近頃はプリンに醤油をかけて「ウニ」の味とか抜かす若者がいるって言うが、そんな邪道なモンを、築地40年のゲンさんが食えるかよ・・・なんて思ったりしたもんさ。
 それが、近所の寄り合いで「ゲンさん、いいからダマされたと思って食べてごらんよ」ってえんで、嫌々口にしてみたところ、こいつがなかなかバカにならねえ味! それどころか妙に後をひく懐かしい味だったモンで、このシリーズで取り上げようとした次第だ。どうか節操のないヤツと笑っておくんな。
 ともかくもお子さんを中心に、巷で大人気の「カレー鍋」! レシピをご紹介するもんで、どうぞおつきあいのホドを。
 
この冬一番、ナベ奉行の芯までぬくいカレー鍋。
イラスト
本来カレーというのは、インドのような暑い国で発達した食べ物です。暑い夏、カレーを食べてフウフウ汗を流したあとに、サッと汗が引いた経験のある方は少なくないと思います。
今回のカレー鍋は単独のスパイスを使わないカレー粉だけを使い、味のベースは醤油や「いしる」などを用いました。
そして決めては、何と言ってもタップリのすり下ろしショウガ!
漢方では、根菜のように地面の下で育つ食材は、身体を暖めるといいますが、中でもショウガは、そのパワーは抜群!

冬は冷えて仕方がないという貴方、冷え知らずの身体をカレー鍋で手にすることができるかも?

材料下ごしらえ
1.
食材仕入ドットコムさんの五穀鶏を解凍して、食べやすい大きさにカット。
五穀鶏とえびちゃん。
2.
油揚げに熱湯をかけ、油抜きをする。
薄いのは京都のお揚げさん。
厚いのは新潟の栃尾揚げ。
写真

2種類そろえると、食感の違いが楽しめます♪

カレーと油は相性が良いのだが、このカレー鍋は油を使わないヘルシーなもの。その中でお揚げさんは一つのアクセント。
カレーが揚げにしみて、これがなかなかイケる♪

3.
●ダイコン(6〜8cm)は短冊1.5cmくらいに切る。
 (知ってますか? 油控えめのカレーにはダイコンが合うってこと)
●ニンジン(半分)をスライスする。
●キャベツ(5〜6枚)をザク切りにする。
●春菊(1束)は食べやすい大きさにカット。
●ジャガイモ(3〜4コ)は皮をむき、好みの大きさに切る。
 (あまり小さくすると、溶けてしまうので注意!)
●シイタケやエリンギ、マイタケなど好みのキノコをそろえる。

ちなみにエリンギは一本をタテに切るのが一番。食感が違うから是非お試しあれ!

写真
鍋・スープ
1.
ダシの取り方は、いつもの和風の鍋に同じ。
鶏ガラスープでも美味しいが、ここは約2リットルの水にコンブを入れ、煮立ってよくコンブが膨らんできたら、削り節をひとつかみ入れてダシをとる。
写真
2.
     a
  • 醤油----------------大さじ3
  • いしる(魚醤)----------------大さじ2
  • みりん----------------大さじ3
  • 砂糖----------------大さじ1
  • ショウガすりおろし----------------親指大2〜3コ分をタップリと
aを1のだし汁に入れる。

今回のカレー鍋は市販のカレー粉のみを使い、他のスパイスをいれません。
味のコクを出すため「いしる」のような旨味成分の多いものはおススメです。カレーの香りに打ち消され「いしる」独特の匂いも気になりません。

写真
3.
     b
  • カレー粉----------------大さじ3
  • 小麦粉----------------大さじ2(片栗粉でもよい。その場合もっとトロみがつく)
  • 水----------------100cc
bをといたものを少しずつ、鍋の中にいれていく。
写真
4.
大根、ニンジン、ジャガイモを入れ、コトコト10分ほど煮込み、続いて鶏肉、油揚げをいれてエリンギ、シイタケ、マイタケ、キャベツ、春菊の順に入れる。
写真

5.
出来上がり♪

他の鍋でもそうですが、カレー鍋は決まったルールなどありません。ちくわやつみれ、ハンペンといったおでんだねもよく合いますから色々試してみると良いでしょう。
シメには残りのスープにうどんなどをいれてみましょう♪

写真
 
  滋養強壮に火鍋は如何?
   レシピをご覧いただいて、玄人のみなさんはおわかりだろうが、ザックリ言うと、こいつはカレー南蛮、カレーうどん※1をお鍋さんにコンバートしたようなモンだ(まあ、厳密に言うと、けっこう違いはあるんだがね)。
 これは個人的な意見だが、「一般的なカレー」と「カレー南蛮」との違いは、油を使うか使わないかにあると思う。
 もちろん、みなさまの中には異論もあるだろう。江戸時代にはネギと唐辛子を使ったものを「南蛮」と呼んだそうで、タマネギを使ったものが「カレー」。ネギを使ったものが「カレー南蛮」だと分ける方もいる。だが、ここであっしは両者の油の使い方に注目したいと思うのさ。
  写真
   「かれーな印度カレーを召し上かれー♪」のシリーズでも申し上げたが、たいていのスパイスが持ってる香成分は油と相性が良い。水溶性の成分を持つ香辛料はサフランくらいのもので、コリアンダーやターメリックなど、スパイスパウダーを水に溶こうとすると、すぐに粉が浮いてきて、なかなか馴染んでくれない。小麦粉や片栗粉のようなデンプン質のものが、サッと水でとけるのとは対照的だ。
 特にインドカレーのように、スパイスひとつひとつの立った香りを大切にするカレーの場合、油は必須材料だ。油でタマネギを炒めてスパイスを入れるという、インド料理独自の儀式も、香りを最大限に引き出す上で必要なことなんだな。
 ところがカレー鍋やカレー南蛮の場合、カツオだしやコンブだしに醤油味をベースに、カレー粉や片栗粉を水に溶いて入れる。油を使ってスパイスの香りを立たせてしまうと、出し汁ベースの繊細な味わいはすべて掻き消され、まったく別の食べ物になってしまうんだ。
 まあ、カレー鍋も和食のカレー同様、日本で生まれた日本料理ってことになるワケで、だからこそ老若男女の抵抗なく人気が出てきたってことなのさ。
 
   
※1

一般的にカレー南蛮は蕎麦、カレーうどんはうどんと分けるが、それも店によってバラつきがあるので、ここでは語呂の良い「カレー南蛮」を例にあげた。

   
  カレー鍋は”ちゃんこ”からはじまった?
   カレー南蛮のはじまりは意外に古く、明治時代に遡る。単純に蕎麦の出し汁にカレー粉を入れたというのが、その原点だそうだ。
 明治といえばインドからイギリス経由でカレー粉が渡ってきた時期だから、一般的なカレーの出現とほぼ一緒だ。そいつは今のカレーライスの原点と言われている、あの海軍カレーより前の話だから、ある意味でカレー南蛮は、”和風カレーの完成”より話は古いってことになる。
 一般的なカレーがさまざまな変化をとげたのに大して、カレー南蛮というのは昔と比べて、そんなに劇的な変化をしていない。南蛮さまが何となく懐かしい感じがするのは、昔からあまり変わってない食べ物だからなのかもしれない。
  写真
   さて、われらが「カレー鍋」だが、そんな南蛮ソバをベースにしているかどうかは別にして、こいつらが限りなく似た食べ物だってえのは間違いない。
 カレー鍋をはじめてお店で出したのは、兵庫県のさる和風居酒屋という話だ。まかない料理として出していたのを、お客さんに食べてもらったところ、こいつが大評判! ・・・という、ちょっくらマスコミ受けしそうなエピソードだ。あっしはまだ食べたことはないけど、そこの店のカレー鍋は鶏ガラベースで、なかなかイケるって評判だよ。
  写真 ただ、その話にケチをつけるワケじゃねえが、あっしに言わせると、もっと早い時期にカレー鍋を食べていた人たちがいた。それが、おすもうさんなんだ。
 元・佐渡ケ嶽部屋の力士で、マンガ家の琴剣淳弥氏の著書に「マンガ・チャンコ入門」があるけど、そこにはカレー鍋のレシピと、若い力士たちがいかにカレーちゃんこが好きかということをこと細かに記してある。どうやら相撲部屋において、カレー鍋はごく当たり前に食べられてきたものらしい。
 本によるとカレー鍋には、つくね鍋のような具材が合うとしている。力士たちは通常のソップちゃんこを平らげたあと、カレー粉を入れて「カレー鍋」に早変わりさせ、さらにモリモリ食べるんだそうだ。
 若い力士の食欲を増進させ、力をつけさせるカレー鍋。食べると体がポカポカするのは受け合いだ。すり下ろしショウガなんぞを入れれば、その効果はなおさらだよ! 女性の冷えによし、お子さまの成長によし。そんなカレー鍋、みなさんもおひとつ如何かな?
 さーて、時間が来やがった。
 それじゃ、お客さん! 次回をお楽しみに!
 
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