| 掲載日:2007年12月12日 |
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| トップバッターは「火鍋」から | |||||||||||||
| 猛暑があった今年は温暖化の影響か、なかなか寒くならないと思っていたが、ここ最近は冬らしい季節が到来してきたようだ。ちょっと昔なら、この程度の寒さなんて冬なら当たり前の陽気なんだが、人間てえのは何でも楽な方に慣れちまうようだ。丈夫なだけが取り柄のゲンさんも、近頃じゃ、この寒さにコタツで湯豆腐をつつく毎日さ。 そんなワケで、この時期は前回もご好評いただいた、”冬将軍にゃあ、「ナベ奉行」のあったか裁きが一番でぃ!”の「シーズン2」をお送りいたしやしょう。なんせ、鍋ってヤツはみなさま先刻ご承知なように、栄養価は高く、カロリーは低め。食べれば芯まで暖まる、ありがた〜い食べ物だよ。おまけにこれといった決まりごとがなく、コンブやかつお節、味噌やしょうゆなど、さまざまなスープをベースに、肉や魚、野菜といった食材を楽しむ融通無碍な料理が「鍋」なんだ。 前回は湯豆腐やらおでんなどの正統派”お鍋さん”が中心だったが、今回はちょっくら変わった鍋や流行りの鍋ものも数多くご紹介していきたいと思っている。 そんなワケってことでもねえが、シーズン2のトップバッターは、巷で人気の「火鍋」とやらを取り上げてみようかな。 |
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| 滋養強壮に火鍋は如何? | |||||||||||||
| 近頃、日本でも好まれている「火鍋」は、中国でいう鍋もののことだ。モトはしゃぶしゃぶのことを指し、正確には火鍋子(ホーコーツ)という。 (日本のしゃぶしゃぶの原型は、満州族の料理ショワンヤンロウ)。 今回は、その中でも四川省の火鍋を取り上げてみよう。 |
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こいつのオリジナルは毛肝火鍋(マイドゥフォッグ)と呼ばれる動物の内臓を食べるためのレシピで、牛や豚のレバーや心臓、肺、センマイやハチノス、そして、血豆腐といって鶏や鴨の血を混ぜた豆腐など、ちょっくらクセのある食材たちを、紅湯と呼ばれる赤い辛子のスープに潜らして食べる鍋料理だ。年間を通して湿気が高く、夏は蒸し暑い、冬は底冷えのする四川省では、体力維持と滋養強壮のために、こういったスタミナ満点の食事がどうしても欠かせないんだ。 この毛肝火鍋を香港や台湾の料理人が、動物の内臓の代わりに、地元の海鮮を用いた激辛鍋を売り出したところ爆発的にブレイクした。そいつが日本にも上陸したってワケなんだ。モツでも魚でも、ちょっとくらい臭いやクセのある食材だって、十分美味しく食べられるため、最近では羊肉を用いた火鍋の店も出店されている。 |
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| 四川料理は痛風に効く? | |||||||||||||
| 四川省というのは、昔は巴蜀(はしょく)の国として知られていた。巴は今の重慶周辺、蜀は成都周辺にあたる地域だ。中でも蜀はあの「三国志」の舞台として有名だ。群雄割拠の三国時代――蜀の劉備玄徳が関羽・張飛などを従え、諸葛亮孔明らの補佐を得て蜀漢の国を建国するという、血わき肉躍る物語は、みなさんの中にも大勢ファンがいるに違いない。 蜀の国は四方を山に囲まれ、あの李白が「蜀への道は晴天に上るより難し」と詠んだ、自然の要害の地だったため、他国からは大変攻めにくかった。外敵に晒されにくい地勢に加え、降水量が多く、肥沃な土地だったため、3000年以上前から中国有数の穀倉地域だったんだ。 |
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| そんな豊かな土地柄だったためだろうか――昔から蜀の国では、身分の高い方に多かった病に痛風があったそうだ。食べものが少なかった時代に痛風とは、大したもんだ蕎麦屋の風鈴ってなモンだが、山に囲まれたこの地域独特の湿気が、当時は痛風を助長すると考えられていた。そんな中、当時痛風に効くと考えられた食材が、花椒(ホアジャオ)を筆頭とする、辛み成分の多い食材なんだそうだよ。 もちろん当時、中国には辛み食材の代表格・唐芥子はなかった(あれは元々メキシコ原産で、世界に広がったのは17世紀頃の大航海時代以降だから、2000年前の三国時代にあるはずはない)。 だが、この地域で唐芥子があっという間に広まったのは、蜀の人たちが辛みに慣れていたことに加えて、「痛風に効く」とされてたこともあったらしい。どれだけ医学的な根拠があるのかは知らないが、確かに四川省は動物の内臓のように、プリン体の多をうな食材を好んで食べる。辛味の強い食べ物は、そいつらを緩和させる役割があったのかもしれないな。 |
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| 火鍋で、舌もハートも痺れるぜ! | |||||||||||||
| 麻婆豆腐でも火鍋でもそうだが、四川にはさまざまな種類の辛みがある。四川料理といえば、とにかく辛いというイメージがあるけど、実際に中国でいちばん辛い料理を出すのは、毛沢東の出身地でも知られる湖南省だ。こちらの料理は本当に辛い! もちろん四川料理も辛いことは辛いけど、それよりも特徴的なのは、辛みの種類がさまざまだってことさ。辛みの筆頭は、唐芥子のカプサイシンによるもので、こいつは医学的に言うと、味覚というより「痛感」に近いものだ。唐芥子(チリ)は環境によって、さまざまな品種に変わりやすいため、パプリカのように辛みのないものから、ハバネロのような超激辛のものまでさまざまなのが特徴だ。 |
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| だが四川料理の場合、チリのカプサイシンによる辛味より、「花椒」と呼ばれる中国山椒の辛味が重要だ。こいつは中国では麻(マー)と呼ばれ、舌を痺れさす辛味を指す。ひとたび花椒のかけらを噛ろうもんなら、たちまちベロが麻酔でもされたようにビリビリと痺れてくる。これこそが、チリの突き刺すような辛味とは違った、四川料理でないと味わえない辛味なんだ。 本場、四川省の火鍋は「マー」の辛味を何より堪能できるものだ。また、日本では辛味は塩分を控えるために使うことが多いが、四川料理は塩味の手加減をしない。紅湯の底には、時に塩のカタマリが沈んでいることもあって、こいつを花椒の破片と一緒に口に入れようモンなら、水を飲もうが何をしようが口の中が痺れまくり、もう大変な騒ぎさね。こいつが旨いときてやがるんだから、日本人には考えつかない不思議な味付けってヤツさね。 ほかにも四川には冲(チョン)という、ツンと鼻を抜ける辛味がある。日本のワサビや辛子のようなもんで、いわば揮発性の辛さだな。何でも四川の人たちにとっては「チョン」が一番辛く感じられる辛味なんだそうなんだ。 そういえば、インド人が日本に来ると寿司が辛いと思うらしいけど、多分それと同じことなんだろう。ところ変われば品変わるというが、いやはや人間の味覚ってえのは実に面白いもんさね。 さーて、時間が来やがった。 それじゃ、お客さん! 次回をお楽しみに! |
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