| 掲載日:2007年01月31日 |
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| 鴨にはネギか、はてまたセリか | |||||||||
今回の「ナベ奉行のあったか裁き」は江戸前料理の代表、鴨鍋を取り上げてみよう。今でこそ、鳥肉といえばニワトリの肉を指すが、日本人が当たり前に鶏を食べるようになったのは、肉の禁忌がなくなった明治以降の話だ。古事記や日本書紀には、天の岩戸にこもってしまった天照大神(あまてらすおおみかみ)を呼び出すため、「常世の長鳴鳥(とこよのながなきどり)を集めて鳴かしめた」のがニワトリさんだって記述がある。鶏は神さまの使い、太陽のシンボルだと考えられていたんだろう。そのため昔は、鶏をやたらにシメて殺したりはしなかったようだ。 飛鳥時代に天武天皇が、「牛馬とともに鶏も殺してはならない」と詔を出して以来、明治まで一般的にニワトリが食べられることはなかった。いわゆる殺生禁断令ってやつだな。もっとも、モトは仏教の教えである不殺生の令を、日本神道の親玉・天皇陛下がお出しするってえのも、「好い加減」が身上の日本人らしい話さね。 さて、肉食を禁じていたといっても、そこは「好い加減」な日本人のこと。江戸時代、鶏がダメなら鴨だということなんだろう。鴨肉は貴重なタンパク源として庶民にもてはやされていたようだ。豆腐だのお新香だの、淡泊な食べ物が多かった江戸時代・・・濃厚な味わいの鴨肉は、庶民にとってはたまらないご馳走だったに違いねえや。 |
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| ところで昔から「鴨がネギしょってやってきた」なんて言葉があるくらい、鴨にネギってえのは相性が良いんだが、お江戸のこの頃は、ネギよりもセリが付け合わせとして主流だったようだ。鴨のどっしりとした味わいに、香りの高いネギもセリも相性は抜群だが、江戸時代は鴨肉にセリ、豆腐というシンプルな具材で食べられていたようだ。 え? ところでセリとネギじゃ、どっちが鴨に合うんだって? お客さん。まどろっこしいこと、お言いでないよ。両方とも合うに決まってるだろう。 今回のレシピには、おネギさん、おセリさんの両方を入れている。食材仕入ドットコムさんでも美味しい鴨を用意してるもんで、どうぞこの寒中を無事乗り切っておくんなせえ。 |
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| 鴨にはセリで「芹沢鴨」かい? | |||||||||
| 余談ながら鴨にセリといえば、幕末の新撰組に「芹沢鴨(せりざわかも)」ってえ人物がいたのを、みなさんもご存知だろう。芹沢鴨といえば、神道無念流の免許皆伝。剣の達人だが、凶暴で傲岸不遜、腕が立つだけにキ○ガイに刃物で、最後に新撰組の厄介者として近藤勇と土方歳三らに粛正されてしまうことで知られている。 この人は、今の水戸あたり常陸国芹沢村の出身で、本名は下村嗣次※1。幕末の尊王攘夷運動に強い影響を与えたという水戸学※2を修めたというから、粗暴なイメージに合わぬインテリだったとも言われている。 |
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| 芹沢鴨は自分でつけた名前で、おそらくは姓に村の名前をとったのだろう。投獄され死刑を待つ身であったのが、恩赦で出されてから後、芹沢鴨と名乗ったそうだ。この時代の川柳には、「芹の上鴨昼寝してうなされる」なんて句が残されているが、「鴨」という名は、自分を鴨ネギならぬ、「鴨にセリ」の食い合わせをかけた洒落だったんだろうな。 とかく凶暴なイメージの鴨さんだが、殺された時に近所の婆さんから「何で、あんな良い人が」と泣かれたというから、巷で抱かれてる粗暴な「芹沢鴨」像とは違った一面があったのかもしれないな〜。 まあインテリで良い人の芹沢鴨なんざ、お芝居にならない。歴史なんて、そんなことで作られていくんだろうよ。 |
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| 鴨と合鴨、何が違うの? | |||||||||
| 玄人衆のみなさまにゃあ、釈迦に説法、孔子に語道のコンコンチキだが、食材のことはよく知らないという素人衆の方々に聞いてみよう。 鴨と合鴨。どこがどう違うかご存知かい? おっと。玄人衆でもハッキリわからない方がいらっしゃるってか? |
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| いやあ、へっへっへ。実はこの質問・・・あんまり意味がねーんだな。つまり「鴨」ってえのは「カモ科カモ目の中型な種類の総称」で、分類学上まとまったものじゃないんだよ。あえていえば、マガモやカルガモは鴨の代表格だが、あとはそんなにハッキリした定義づけがあるわじゃない。鴨ってえのは、あくまで総称なんだ。 | |||||||||
それじゃあ「合鴨」ってえのは何かといえば、主にマガモとアヒルの交配品種のことを呼ぶんだな。もっとも、アヒルそのものが、もともとは野生のマガモを家禽化させたものだ。アヒル自体も合鴨と呼んで、市場に流通しているという寸法よ。加えて言えば、野生のマガモはごく特別であって、流通されてるものの多くは合鴨(アヒルが多い)と考えてもいいだろう。育て方によっては、味も栄養価も野生のマガモ以上のものがあり、たとえばイラストのルーアン種も、フランス合鴨のブランドとして人気がある。 鴨肉は赤身の鮮やかな肉が美味しいので、このルーアン種なんぞは、シメる時に血を抜かず窒息させる。野趣溢れるで芳醇な味わい、脂身の美味しさ。牛肉にも負けない赤く繊細な肉は鉄分を多く含み、ビタミンB1、2も豊富といった具合に栄養価にも優れているので、原産地のフランスはもとより、さまざまなところで人気がある。 もちろん鴨鍋や治部煮、鴨南蛮などの日本料理にだってOKだ。 ちなみに鴨鍋や治部煮に使う肉はムネ肉だ。鶏と違ってモモ肉や手羽先は、タタいて団子にする「鴨汁」という鍋料理がある。治部煮や鴨汁については、いずれ時間のある時にでもご紹介いたしやしょう。 さーて、時間が来やがった。 それじゃ、お客さん。次回をお楽しみに! |
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