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水産物 医食同源
マンマミーヤ! イタリアン! その21
掲載日:2005年4月12日
 まいど、まいど、イダテンのゲンさんです!
 前回、東京はそろそろ花見だなんて言ったけど、ようやく満開の運び・・・おっと、そろそろ散り際かい? 今年は1月2月は暖冬だったのに、3月に入ったとたん寒くなるという、何とも妙ちくりんなお天気だったなあ。
 ようやく春らしくなってきたもんで、今か今かと出番を待っていたうちの花見用食材も、ようやく嫁に行ってくれたところだ。
 ただ花見はいいけど、花粉とアルコールで鼻が詰まって仕方ねえ・・・なんてお客さんも多いようだね〜。普段、花粉マスクをかけてる方は、花見の時には外さないと飲み食いもできねえんだから不自由なモンだ。
 例年より猛威をふるっているスギ花粉だが、不思議なもんで、今年に限って大丈夫なんて方も中にはいらっしゃる。きっと、その年によって花粉のタイプが違うのかね。目にきやすい年とか、鼻にきやすい年なんて具合によ。
 まあ、みなさまも花粉なんかに負けず、花見とシャレ込んでいただきてえもんだ。食いもんは、このイダテンのゲンさんがイヤというほどお出しするんで、泥酔しない程度に楽しくやっていただきてえもんだね!
  オリーブは体に良いぜ!
  -----------------------------------------●プーリア州、バジリカータ州、カラブリア州
  地図 さて。ようやくマンマミーア・イタリアンも、南は長靴のつま先までやってきた。今回は南部3州と呼ばれるプーリア州、バジリカータ州、カラブリア州※1を取り上げてみやしょう。
 イタリアの国鉄を南に下りナポリを過ぎると、いきなり停車駅が多くなってスピードが落る。車窓からの様子も、それまでの緑豊かな大地から、白っぽい岩肌のゴツゴツした景色に変わり、まるで外国に行ったような変わりようだ。
 昔から南北の格差がとりざたされていたこの国も――最近ではリゾート開発が盛んに行われ、観光客の数も増えたこともあって、かつては貧困をきわめた南イタリアの生活もずいぶん向上してきた。
 南はローマやフィレンツェのように、星の数ほど観光スポットがあるわけじゃないが、青い海に降り注ぐ太陽に加え、食べ物も美味しく安いので、最近日本でも人気急上昇だ。前回でも申し上げた「地中海式ダイエット」の人気も、ツーリストを後押ししているようさね。
 南イタリアの食生活はすこぶる健康に良いこともあり、北イタリアのみならず、ドイツやフランスといったヨーロッパ先進国・・・はてまた日本やアメリカにも注目され、その人気が広がっている。
  写真 その筆頭に挙げられる食材――イタリア料理に絶対に欠かせない健康素材といえば、何と言ってもオリーブオイルだろう。
 新鮮な魚介類の数々、トマトを筆頭にした豊富な野菜――そうした南イタリアの豊かな食材も、オリーブオイルがなければ、何ひとつはじまらない。主にバターを使う北部でも、近頃じゃ、健康面のことを考えてオリーブオイルに切り替える家庭も増えているとのこと。
 今回はそんな医食同源にぴったりのテーマ・・・オリーブオイルの話をいたしやしょう。
 
   
※1/ サッカーファンはご存じだろうが、カラブリア州の州都レッジョ・カラーブリアには、あの中村俊輔選手が所属するレッジーナの本拠地がある。
   
  女神アテネからのギフト品
  オリーブ オリーブの歴史は古く、地中海では紀元前6000年にはすでに栽培されていたらしい。いまだにオリーブオイルの世界生産の9割は地中海沿岸で、その中でイタリアの生産量は、全体の3分の1から4分の1にあたるという。
  写真 そんなオリーブ大国イタリアの中において、プーリア州とカラブリア州という長靴のつま先とかかとに当たる地域は、イタリア最大のオリーブ産地だ。
 オリーブの木ってヤツは実にガマン強い。この木は実にゆっくり生長するんだが、根っこがすこぶる強く、石ころだらけの不毛な地でもジッと耐えて、地下深くまで伸ばしていく特性がある。
 中には数千年かけて巨木にもなる木もあるし、小ぶりなまま生長が止まる木もあるが、いずれにせよ、オリーブは確実に無数の実をつけてくれる。南イタリアのゴツゴツした大地でも、オリーブさまは喜んで大きくなり、その実をもたらしてくれるわけだ。
 もっともオリーブの実はチェリーやプラムといった核果類と違って、生で食っても苦く酸っぱく旨くない。そこで古代人たちは塩水に漬けたり、潰して調理に使うなど工夫した。そのうちに、実より油の方が使えることに気がついたんだ。
 そしてオリーブの油は食用としてのみならず、薬や石鹸、化粧品、潤滑油やランプの燃料など、地中海沿岸に暮らす人々にとって、なくてはならない存在になっていったワケだ。
 オリーブの神秘的な生命力も相まって、古代エジプト人やヘブライ人、ギリシャ人、ローマ人は、この木を神聖視して、大いに奉り上げた。オリーブの銀色がかった緑の葉っぱは、地中海地方の豊穣さを表すシンボルにもなっていたのさ。
 特にギリシャ人にとってオリーブの木は、女神アテネから授かった贈り物だった。古い時代からギリシャと交易のあった南イタリアでも、どうやら紀元前から栽培されていたらしいのさ。
  素晴らしいオリーブオイルの健康効果
  写真 よく言われることだが、オリーブオイルは果汁で作られる唯一の油だ。良いオリーブオイルは果実の香りがするが、それもそのはず――ジュースなんだから当たり前のことさね。
 大豆油にしても菜種油にしても、ほかの植物油は油脂がタネの中に包まれているので、油を取り出すには少々複雑な化学的工程が必要だ。
 その点オリーブの場合、油を取り出すプロセスは至って単純!
 オリーブの実を石臼で潰し、取り出した果汁を遠心分離機にかけるだけ。基本的な製法はローマ時代と変わらないオリーブオイルだが――そいつが、この力強い植物の生命力を、そのまんまいただける一番の方法ってワケさね。
 加熱処理をしないため、果汁に含まれたさまざまな成分がそのまま残される。そんな果汁が体に嬉しいことは受合いだ。
 オリーブオイルの健康効果といえば、何と言ってもあのオレイン酸を豊富に含んでいることだろう。オリーブを語源にするオレイン酸は、あの地中海式ダイエットでも注目された成分で、血中にある悪玉コレステロールを低下させる効果がある。善玉コレステロールまで下げないところがポイントで、体に必要なものはきちんと残してくれるんだ。
  写真 血液をサラサラにして動脈硬化に歯止めをかけるほか、発ガンのもとになる過酸化脂質を作りにくくするなど、オレイン酸には素晴らしい健康効果がいっぱい詰まっているのさ。
 地中海式ダイエットで注目されたように、南イタリアのお年寄りが長生きだった理由もわかるわけさね。健康診断で青くなってるお父さまがたは、ひとつ試してみてはいかがかな?
 なに、ゲンさん。そんな、地中海式ダイエットなんて言うけど、南イタリアを旅行した時に、太ったおじさん&おばさんを大勢見かけたって?
 うーん。誤解しないでほしいのは、南イタリア風の食事をすれば痩せるとか、オリーブオイルを摂れば痩せるってえワケじゃない。食べ過ぎれば何でも一緒だし、第一オリーブオイルは文字通り油だからね〜。摂り過ぎれば、そらデブになるわな。
 前回も申し上げたけど、ダイエット=「痩せる」意味じゃなく、もともとの"diet"とは「1日の食事」という意味で――その人にとって理想的な健康体を作ることなんだ。
 もちろん栄養過剰の現代では、ダイエットって言うと、どうしても痩せる意味にとられがちだがね。
 あっしのトコの女性社員にも、痩せて貧血ばかり起してるくせに「ダイエットしなきゃ」なんて言うのがいたもんで、こないだ説教してやったトコだ。 
 まったく、そのあたりダイエットの意味を間違えねえいただきてえもんさね〜。
  オリーブオイル、三役揃い踏み
  写真 オリーブオイルが健康に良いのは申し上げた通りだが、極上の油の欠点は美味しいんで、食い過ぎてしまうことだなあ。
 特に一番搾りにあたるエキストラ・バージンオイルはフルーティーって言葉がぴったりだ。パンにつけて食べるのもよし、牛肉や鯛などカルパッチオにかけて風味づけもよしだ。イタリアで寿司が流行れば※2、連中はコハダやタコにエキストラ・バージンオイルをふりかけるに違いねえ。
 さて、日本でオリーブオイルというと、国内基準に沿って輸入されているので、「バージン」と「ピュア」の2種類だけだが、本国イタリアでは、バージンオイル、精製オイル、ピュアオイルの3つに分けられている。
  1. バージンオイルは低温下で作られた生絞りの果汁で、もっとも香りが楽しめるもの高級品だ。もっともジュースである分、モノによると酸化が早くなるので、この点は気をつけないといけねえ。エクストラ・バージンオイルってえのはその中で、酸化しにくい良質な高級油※3のことを言うのさ。
  2. 精製オイルは、化学的にオリーブの香りを取り除き、酸化しにくくしたもの。
  3. ピュアオイルはバージンオイルと精製オイルをブレンドしたもので、香りもあって酸化もしにくいという、両方の長所を持っている。
写真 ところでエクストラ・バージンは、加熱調理すると香りもビタミンが失われるので止めた方が良いと言われるが、どうやらそうでもないようだ。
 香りとビタミンがある程度失われるは本当だそうだが、オリーブオイルは発火する温度が210℃と、ほかの油より高いのでカラっと料理を仕上げるには向いてるらしい。健康に良いから、こだわずどんどん使った方が良いってことだろうな。
 南イタリアでは唐辛子を使った料理が盛んだが、この油はピリ辛の料理にもよく合う。ご家庭でもひとつ試してはいかがかな?
 さーて、時間がきやがった。
 それじゃ、お客さん。次回をお楽しみに!
 
   
※2/ ヨーロッパでは空前の寿司ブームが到来しているが、中華ですら進出の難かしい、食の保守王国イタリアでは、まだまだ寿司は一般的な食べ物ではない。
※3/ 基準はオイルに含まれている、オレイン酸やリノール酸が遊離している度合い――「酸価」で決める。酸価の高いものは、その分劣化が早い。エクストラ・バージンオイルの場合は酸価1%以下という基準が定められている。
   
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