| 掲載日:2004年8月6日 |
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今回はイタリアンの4回目。前回は生パスタと乾燥パスタの違いについてお聞かせしたが、今日はその種類と食べ方を中心にお話いたしやしょう。 |
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今回は特別にパスタのイラストを、エビ太郎作者の先生に描いてもらった。こればかりは百聞は一見にしかずで、お見せしないことにはどんな形をしてるかわからねえからな。ちょっくら参考にしておくんなせえ。 日本も世界に冠たる麺食い大国だが、こと形のバラエティについちゃあ、その王座をイタリアのパスタに譲らざるを得ないだろう。なにしろイタリアン・パスタってえのは、麺状のロングパスタはもちろんのこと、ショートパスタを入れれば、その正確な数はイタリア人の誰に聞いてもわからないほどだ。 少し前の時代、日本でパスタといえばスパゲッティくらいのもんだったが――本国イタリアでスパゲッティを正しく定義すれば、直径1.6〜2.2mmのロングパスタを指す。もちろん、スパゲッティはもっとも一般的なパスタで、使いやすく、どんなソースでも合わせることのできる存在なんだ。 パスタは太さや形によって、茹で時間も、それに合わせるソースの相性も変わる。 一般に太いパスタはミートソースやクリームソースなど、どっしりとしたボリューム感のあるものが合うとされ、一方で、細いパスタはトマトソースなどの軽やかなソースが合うとされている。 それじゃあ次のコーナーで、ちょっくらロングパスタの種類をご紹介いたしやしょう。イラストと合わせてお楽しみくだせえ。 |
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スパゲッティより少し細めのロングパスタは、「スパゲッティーニ」と呼ぶ。語尾につく、"〜ニ"ってえのは「小さい」という意味らしいが、これに合うのはペペロンチーノのようなシンプルなレシピのパスタだ。ペペロンチーノってえのは唐辛子のことで――刻んだニンニクと唐辛子をオリーブオイルを炒める日本人好みのパスタだな。日本でいえば素うどんみてえなもんで、イタリアじゃあ主に家庭の夜食で、専門店のメニューには加えられないのが普通だ。 ニンニクは潰したあと細かく刻めば、カリッと香ばしく仕上がる。また、大きくザク切りにすれば、ほっこりした味わいになる。どちらもお好きな方で試してはいかがかな? スパゲッティーニより細いものに、「カッペリーニ」という0.9〜1mmくらいのパスタがある。日本でカッペリーニは、ペスカトーレ(エビやイカ、ムール貝などの魚介類をトマトソースで和えたパスタ)などに用いられるが、本国イタリアではトマトソースだけのシンプルなパスタに使われることが多い。 |
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本国イタリアでは、ペスカトーレのようにボリュームのあるソースには、もっと太いパスタが好まれるようだ。南イタリアやシチリアでは、ペスカトーレを「リングイーネ」に和えることが少なくない。リングイーネはイタリア語で「小さな舌」を意味するそうだが・・・断面を見るとスパゲティを押しつぶしたような楕円、つまり舌の形に似ているってことさね。 平たい分、ソースのからみも良いってわけさね。 |
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そんな意味では日本でもよく知られてきた、イタリアのきしめん「フェットチーネ」なんぞは、ソースのためのパスタと呼んでも過言ではないだろう。リボン状に平打ちされたこのパスタには、サーモンとクリームソースといった、こってりとした味わいのものが合うんだ。ちなみにフェットチーネというのは、ローマ周辺の呼び名で、地方によっては「タリアッテッレ」と呼ぶことがある。 こいつらはよく、くしゃくしゃに丸められた状態で売られている。はじめからホウレンソウやイカ墨、卵を練り込んだものも人気だ。濃厚な味わいだけでなく、パスタだけで栄養値のバランスがとれているのも利点のひとつだ。 日本でもうひとつ人気は「ラザニア」だな。 こいつはロングパスタというより、シート状の形をして、いわばもっとも幅の広い平打ちパスタといえる。ここまで幅が広いと、ソースのからみが云々のレベルではなくなってしまうが、日本でもイタリアでもラザニアは、主にミートソースを使ったグラタンなどに用いられるようだ。 |
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| さて、あっしの考えでは、ロングパスタがパスタの王道とするなら、ショートパスタは究極の外道といえると思う(マカロニやペンネなど一部の種類を除いてだがね)。 おっと、誤解しないでおくんな! 何もショートパスタがいけないってワケじゃねえ。それどころか、あっし自身はイタリアン・パスタの魅力は、このショートパスタにあると思っているのさ。 ただ、星の数ほどあるイタリアのショートパスタは、あっしら日本人の立場で置き換えると、どうしても外道に見えてしまうフシがある。 日本人ってえのは、何でも極めるのが好きな国民だ。蕎麦でもうどんでも、変に形を変えることより、そのコシ、歯ごたえや味わいなど、中身をとことん突き詰める。 嘘だと思ったら、蕎麦打ち名人たちに「ペンネ蕎麦やマカロニ蕎麦を打ちたいですか?」って聞いてみな。大抵の職人たちが、口を揃えて「ふざけんじゃねえ!」って言うと思うよ。 それに比べてイタリア人は、デザイン性の方にこだわったワケだろうな。さすがはブランド王国さね。 だが、実は本国イタリアでも、こんなたくさんの種類のショートパスタが作られるようになったのは最近の話だ。ショートパスタってえのは形が特殊なため、製造が難かったんだが、オートメーションで比較的簡単に出来るようになったわけだ。 日本人は麺の技術をコシや味わいに費やし、イタリア人は技術をデザインに費やす――この辺が国民性を象徴しているようで面白くもあるわな。 |
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| これはあっしの独断だが、イタリアにおけるパスタの位置づけは、日本における蕎麦やうどんと違って、職人の専門性は必ずしも高くないように思える。 パスタは、いわゆる『道(どう)』ではないんだ。 ピッツァが国際大会などを通じて、職人の腕を競いあう機会が多いのに対して、パスタはあくまで家庭のものなんだ(イタリアには『ピッツァ道』といえるものが、間違いなくある。だが、あっしには『パスタ道』といえるものは希薄なように思えるのさ)。 ショートパスタは、さらにそのことを象徴している。ロングパスタが「アル・デンテ(歯に)」を旨とし、ほどよい歯ごたえが重視されるのに比べて、ショートパスタの茹で時間はさほど厳密でなくとも良しとされている。 ショートパスタは形がすなわち食感になるから、多少時間が経って延びあがっても、味が極端に落ちることはない。それこそ弁当に持っていっても、美味しく食べられる・・・いわば素人衆にも作れる手軽な料理になり得るんだ。 その上、ショートはロングに比べて複雑な形をしているので、表面積がはるかに大きい。当然、ソースが絡む量が増えるわけだ。 前回も申し上げたように、パスタは蕎麦やうどんのように、それだけで食べることは少ない。トマトなどの野菜に加え、オリーブオイル、魚介類や肉類などを加える。ソースのからむ量が増えるってえのは、それだけ栄養バランスが良くなるってことも言えるだろう。 ショートパスタの妙ちきりんな形は伊達じゃない。きちんと意味があるって寸法よ。 |
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| ところでショートパスタが素人衆向けと言っても、それは本国イタリアの話さね。 あっしら日本人には、どう料理に使ったら良いのかわからないのが、実際のところだろう。その種類とソースの相性を載せてみたんで、イラストと合わせてご覧になっておくんなせえ。案外、寿司屋でパスタなんて発想も生まれるかもしれねえよ。 |
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| さーて、最後は種類の羅列になっちまったが、暑さの続く毎日だ。勘弁しておくんなせえ。今日は久しぶりに家に直行し、冷えた白ワインでも飲みながら孫娘にグラタンでも作ってやるとすっかな。 じゃあお客さん、次回をお楽しみに! |
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