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水産物 医食同源
(餃子・後編)種類だって豊富!の餃子さまのお通りでぇ!
掲載日:2004年6月9日
 まいど、まいど、イダテンのゲンさんです! 
 近頃あっしの家じゃ、女房と娘、それに孫娘が「冬のソナタ」にハマっていてな。
 先週の土曜日、一杯やって良い心持ち帰ったら、ちょうど番組が始まるところだったもんで、『おじいちゃん、うるさい!』と、エラく文句言われちまった。
 ふざけやがって、揃いも揃って、女三代「ヨンさま」とやらに夢中でいやがるのさ。
 ま、あっしも女房と娘だけだったら、『家長さまに向かってうるせえとは何だ』と言うところだが、孫を前にしてケンカってえのも大人気ねえやな。
 仕方ないから大人しく「冬のソナタ」とやらを一緒に見ることにしたんだけど・・・。
 うーん、もちろんこの話はイダテンのゲンさんの趣味じゃあない。でも、それはそれで面白いところもあったわな。
 あっしの考えで言うと、こいつは昔でいう『よろめきドラマ』だな。あっしの若い時分に見た日本映画には、こんな感じの話がいくつもあったし、昔の昼のメロドラマはこんな感じだった(もちろん現代風にアレンジされてるし、韓国の話という点で違いはけっこうあるけどね)。
 昔は近所の若い娘からおばさんたちが、こんなメロドラマを夢中で見ていたもんだ。あっしのおばさんも、まっぴるまから煎餅パリパリかじりながら、メロドラマを夢中になっていたもんだ。まあ、のんびりした時代だったけど、これが流行るのは、まだ世の中健全なところがあるのかもしれないな。
 あっしにとっちゃ、「冬のソナタ」は韓国のお客さまとの商談にはうってつけの話題。 もっとも日本人の方が夢中になって見ているフシもあるような気はするがね。
   中国五大餃子、揃い踏み!
 

 さて、関係ない話から入っちまったが、ヨンさまならぬ、餃子さまの後編だ。今回は餃子の種類などについてお話いたしやしょう。
 餃子のバリエーションというのは融通無碍だが、大きく分けると5種類ほどに大別されると思う。それは次の5つだ。

  1. 水餃子
  2. スープ餃子
  3. 蒸し餃子
  4. 焼き餃子
  5. 揚げ餃子
 餃子の本場、中国で「餃子」といえば主に、茹でた餃子と蒸した餃子のことを指す。
 茹でたものは「煮餃」と言い、蒸したものは「蒸餃」と言うそうだ。
 孫娘が好きなマンガ「あたしンち」の中では、餃子を味噌汁の具に使うってえネタがあるが、あれは実は理にかなってるんだな(もっともマンガじゃ、前の日に残った焼き餃子を味噌汁に入れるっていう、お母さんのザツさ加減をネタにしているんだがね)。
 前回も言ったと思うけど、日本で言う一般的な焼き餃子は、中国では鍋貼(ゴーティエ)とか火焼(ホアシャオ)と呼んで、餃子の仲間に入れなかったりする。ゴーティエは春巻きの形をしていたり、馬蹄銀という昔の貨幣の形をしてることが多く、味わいは同じでも形が違うんで呼び方が変わるってこともあるようだ。
 反対に中国では蒸し菓子や餅菓子、卵焼きなどでも、餃子の姿をしていれば、それを「餃子」と呼ぶケースもあるようだ。
 また点心のメニューとして、ワンタンやシュウマイは餃子によく似ているが、これらの間に厳密な境界線はない。ま、そのあたりは気楽に考えればいいんじゃねえかな。
   水餃子vs焼き餃子

 

 水餃子ってえのは、皮のモチモチした食感がたまらねえ。また口の中に入れると、汁と一緒に餡の香りが舌の上に広がってくるのも、こいつの美味しさの秘密だな。
 皮にコシがあるからこそ、噛んだ時に餡と一緒に肉汁などが口の中に広がる感触を楽しめるってもんで――だからこそ、水餃子の皮はぜひとも手作りにしてほしいもんだ。
 店によっては水餃子と焼き餃子とを兼用にしているところがあるが、あっしに言わせるとあまり感心はしない。
 なぜって、水餃子と焼き餃子てえのは、同じ餃子でも味わい方が対照的な食べ物なんだ。
 水餃子がほのかな香りを楽しむものなら、焼き餃子は濃厚な味わいを楽しむものだ。したがって、材料や皮作りなどにも大きな違いがでてくる。
 水餃子の場合は、基本的にモチモチした感触を楽しむものだから、コシのある手作りの皮が向いている。
 一方、焼き餃子はパリパリした食感を楽しむものだ。表面はカリカリ、噛むと餡の中身がジュワっと口の中で広がるのが焼き餃子の醍醐味と言えるだろう。ニンニクなど、匂いの強い野菜とも相性が良いのは、その辺の理由なんだ。
 また、焼いた時に肉汁が皮にしみ込み、香りと味がより濃厚になるって寸法で――だから焼き餃子の場合、皮は弾力が少なくて薄く伸びる生地が良いのさ。
 皮を手作りする場合も、熱湯で溶いた方が良いとされているのは、そんな理由からなんだ。
 また、焼き餃子の場合、市販の皮でも上手な人が作れば十分美味しいものができる。
 反対に水餃子の場合だと、市販の皮で専門店の美味しさを出すことはきわめて難しいと言えるだろう。
   焼き餃子、日本を制覇!
   ところで食べ物ってえのは、気軽に食べられるのも大切な要素だ。
 ファストフードと呼ばれるものはすべてそうだし、餃子もその部類に俗するだろう。
 中国で餃子というのは「点心」、つまりお手軽なスナックやおやつとして食べられるのに対して、日本では同じファストフード的な要素がありながら、餃子の位置づけは随分違うように思える。
 たとえば、ラーメンと餃子を一緒に注文する人は多いが、それを点心として意識する人はいない。ラーメン、ライス、餃子の三位一体メニューは、大衆料理の王道を行くものではあるが、それは軽食ではなく、定食メニューとして食べられているんだ。
 日本で焼き餃子が中心なのは、おかずとしてボリューム感があるからなのさ。
 スナックじゃなく、メインのおかずなんだ。
 逆に焼き餃子が中国では餃子と呼ばれなかったり、ニンニクを入れなかったりというのは、点心の位置づけでは、餃子とは違う食べ物に分類されるからだろう。春巻やシューマイのようにな。
 豚挽肉にキャベツや白菜、ネギ、ニラなどに、すりおろしニンニクとラードを加えた日本の焼き餃子は、デートの前にはご法度の食べ物ではあるが、栄養満点、スタミナ満点で老若男女を問わず人気だ。
 不思議なもので――みなさん、時々無性に屋台の焼そばとかタコ焼きが食べたくなるとか、牛丼、回転寿司、カレーライス・・・餃子やラーメンが食べたくなるって経験はないかな? なぜか高級なもの――フォアグラやキャビア、オマールエビとカサゴのブイヤベース・プロヴァンス風が無性に食べたくなる奴は、よっぽどイヤミな野郎に違いねえ。
 理由はわからねえが、焼き餃子ってえのもそんな無性に食いたくなるモンだとあっしは考えているのさ。
   老辺餃子は辺爺さんの水餃子
   さて、水餃子で代表的なものといえば、老辺(ろうべん)餃子が思い出される。
 麻婆豆腐が麻婆(マーばあ)さんの豆腐なら、老辺餃子は辺爺(ベンじい)さんの餃子ってえワケだ。清朝は1829年に、辺福ってジイさんが編み出した、皇帝お気に入りの餃子だそうだ。清朝が満州民族の王朝だったから、もとは中国東北部の水餃子になるんだが、今では中国はもとより、今じゃあ日本でも老辺餃子の店が進出してきて人気を呼んでいる。
 老辺餃子の特徴は大ぶりに作るってことだ。中国で餃子は小さいほど上品とされているが、皇帝が好んだのは、大きくてお下品な餃子ってことかもしれない。
 それから餡には炒めた豚肉やレンコン、ショウガなどを使う。
 レンコンというのは精進料理では、みじん切りや擦りおろしにして、肉の代用にされる食材だが――老辺餃子の場合は粗みじん切り。いためた豚肉とレンコンのシャキシャキした食感がよく合うのさ。
   医食同源の山西餃子!
   それから、あっしがオススメしたい水餃子に山西餃子がある。
 山西省というのは、黄河の中流に位置するところで、乾燥した土地柄から麦や雑穀を多く使うことで知られている。
 ここで有名なのは山西黒酢だが、これもコーリャンや大麦、豌豆など、雑穀を用いて作る、独特の甘みと香りのあるもんだ。これを使うとみんな山西料理の味になるといっても良いくらい、強烈な味わいを持った調味料だが、慣れるとなぜか病みつきになる。
 山西餃子は皮にソバ粉を練り込んで使うのが特徴で――痩せた土地でも育つソバはここでは大切な雑穀になるんだろう。小麦粉と違って粘り気が少ないんで伸ばしやすいという利点がある。それでいて、茹で上がった餃子のコシはもっちりしていて旨いもんさね。
 具には主に貝柱や豚肉などを用いられるが、野菜として漬け物を混ぜる。これもまた、豊かでない地域の特徴だ。
 雑穀を使うというのも、食べられる穀物はすべて使うという、乏しい生活のあらわれだったんだが――実はこれは近年、体に良いということで注目を浴びている。
 低カロリーでビタミン、ミネラルの豊富な雑穀は、高血圧を予防し、血糖値を下げる効果もあったりするそうで、そんな意味でも山西餃子はおすすめだろうよ。
 そうそう。東京の青山には晋風楼という、珍しい山西料理の店がある。
 水餃子も美味しいいが、刀削麺といって、生地を削って茹でる名物や、猫耳朶麺(猫の耳たぶのような麺)やら、揆魚麺(泳いでいる魚のような麺)もイケる。
 黒酢を効かせた味わいなど、まさに医食同源といった品々が揃ってる。いちど試してみてはいかがかい?
   飲茶に多い蒸し餃子
   中国には通常の食事以外に飲茶(ヤムチャ)という中国茶を飲みながら、餃子やシューマイ、春巻などの点心を食べる軽食の形式がある。
 飲茶の餃子には、蒸し餃子が食べられることが多い。
 見た目や味が上品なことに加え、蒸しものってえのは、保温のためにある程度蒸し続けても味が変化しにくいことが、その理由なんだろう。
 蒸し餃子の場合、皮に浮き粉といって小麦でんぷんを精製した粉を用いることが多い。
 浮き粉だけだとまとまりにくいんで、広東式蒸し餃子などの場合は、片栗粉などを混ぜて、グラグラの熱湯をかけ生地を作るんだ。
 具にはエビや白身魚などが好んで使われる。これらは餡にして練り合わせると、程よく粘りが出るからだ。また、浮き粉を用いた餃子は蒸し上がると半透明になり、具のエビなどがほんのり透き通って何とも上品な感じになるのさ。
 まさにお茶を飲みながら優雅に食べる感じの餃子になるんだ。
 広東式の蒸し餃子には、鶏冠餃(ガイクーンガウ)と言って、鶏のとさかの形をしたものがある。エビとタケノコを具がうっすらと透けて、ピラピラした半透明のとさかが何ともきれいなもんだ。
 変わった形をした餃子も、浮き粉を使うと目の彩りがグンと映えるといったメリットがあるんだよ。
 ほかにもエビの形に似た彎梳餃(ファンソウガウ)。ネズミの尾っぽを想わせる鼠尾餃(シュミガウ)。風車に似た風車餃(フォンチエガウ)など、そのバリエーションは千変万化。
 ところで、浮き粉を使うのは香港や広東省など、南部の特徴だ。
 北部の方では小麦粉を使った蒸し餃子が多く見受けられる(北部では飲茶とは呼ばず、小吃/シャオチーと言うそうだ)ことを加えておこう。
 さて、そろそろ時間になってきたな。餃子についちゃあ、まだまだ聞かせ倒したいことが、わんさかあるんだが、それは次の機会にしよう。
 次あたりから、またサカナの話に戻るか、それともイタ飯の話でもするか――ちょっくら話の仕入れをしながら思案の最中さ。
 お客さん! どうか次回も楽しみにしておくんなせえよ。
   
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