| 掲載日:2004年5月26日 |
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| 餃子は食品のミスター・パーフェクト! | ||
今回は餃子の中編だ。前回は2回でおしまいにするつもりだったが、さすがは餃子! 書くことが増えちまい、3回にしないと収まらなくなっちまった。 |
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| 餃子は薬膳? | ||
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余談になるけど、この医食同源の連載はじめに、薬膳の話をしたのを覚えてるかな? 薬膳てえのは、古来からの経験測からできあがった栄養学、医学だ。そいつを「食」によって実行しようっていう――文字通り、医食同源を実践したレシピが薬膳なんだ。 中国にはむかしから陰陽五行説ってもんがある。 こいつは世の中にあるすべてのモンを、陰と陽。それから5種類に分類しちまおうって考えかただ(あのキトラ古墳などにも描かれている、東西南北それぞれに、青龍・白虎・朱雀・玄武というケモノが置かれているのも、この考えかたの一環だそうだ)。 この考え方によれば人間も陰と陽――たとえば冷えやすい寒体質と、ほてりやすい熱体質に分けられる。また味覚も、酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(かんみ/塩辛さ)の5つに分け、食べ物は、温・熱・平・涼・寒の5つに分けて組み合わせる。 薬膳には、その組み合わせのバランスで、最良の健康状態を引き出すシステムが確立されているんだ。 だが、昔の貴族ならいざ知らず、残念ながら、われわれ普通の生活をしている人間には、薬膳の組み合わせは、ちとややっこしい。素人には手が出せないんだな。 そこで、あっしから提案だが――素材の持つ色で栄養バランスを組み合わせると、簡単で手間いらず、しかも体に良い一膳ができあがるのさ。 青・白・赤・黒・黄 ともかくもこの5色を食べ物に当てはめ、まんべんなく食べてみな。自然とバランス良い栄養摂取ができるはずだよ。 中国の陰陽五行説では、色も五色(ごしき)で分けられる。 よく五色まんじゅうとか、五色そうめんなんてあるけれど、あれはおそらくはここから来てるんだろう。 色に厳格な決まりはなく、青が緑でも、赤や黄色の代わりにオレンジでも、黒が紫や茶色、グレーであっても問題はない。まあ、町で出される定食なんていうのは、知らないうちにこのことを実践している一品といえるかもしれねえな。 |
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| まずは肉や魚介から行ってみよう! | ||
| もちろん餃子ってえのは、この五色が比較的バランス良く合わさった食品だ。 餃子の皮は白。肉や魚介類は赤や黄色。野菜は青。黒はシイタケとか調味料などに当てはめられるだろう。まあ、これには厳格な決まりがあるわけじゃないから、あくまで目安として考えていただければけっこうだ。 肉は豚の挽肉が一般的だが、鶏でも牛肉でも大丈夫。 ただ、挽肉ってえのは肉をミンチにする際、熱が加わるんだ。特に牛肉の場合は、それで風味が落ちやすくなるから、上等な部位を使いたい場合は、面倒でも薄切り肉などを買ってきて、包丁で叩きにした方がいいだろう。 そうすれば熱で品質も劣化しないし、肉の粒が不揃いになることで、プリプリした食感が楽しめるんだ。また、切ることによって、タンパク質に粘りが出て、加熱された時の歯ごたえが良くなるというメリットもある。 エビなども同様で、刻んでよく練り込むと食感が良くなる。ほかにもイカ、ホタテ、白身魚、干しエビや干し貝、中国ハム、ゆば、羊肉など・・・餃子の具というのは融通無碍なんだよ。 下味は肉や魚介類などタンパク質の食材につけ、全部混ぜたら、あらかじめ下ごしらえをしておいた野菜をバッと加え、水気が出る前に皮に包む。 調味料は一度に加えてはいけない。加えては混ぜ、加えては混ぜるのが原則だ。肉に味がしみ込んで、しかも粘りが出てくるからだ。 調味料を入れる順番は、最初は香辛料。それから味の濃いものを先に混ぜ、香りつけは最後にする。たとえば胡椒→塩→酒→ごま油なんて塩梅だ。 ただ、これも厳密なルールがあるわけじゃあねえ。多少間違えてもかまわないから、まあともかくも試しておくんな。 |
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| ニンニクなしの中国餃子 | ||
| 素材に使う野菜の中心は白菜とキャベツだ。細かく刻んでから塩を振り、水分を絞る。野菜ってのは放っておくと、いくらでも水気を出すから、このあたりは手早くやりたいもんだ。 もっとも大量に葉野菜を使う専門店などは、手早くやると言っても限界があるだろうから、肉と野菜を混ぜる塩梅や、下味のつけ方なども工夫をしているようだがね。 ともかく餃子は種類に応じて、野菜なら何でも使う。大根やネギ、インゲン、シイタケやシメジなどのキノコ類、タケノコ、もやし、ミント、胡麻、ニラ、黄ニラ、カボチャ、里芋、銀杏、栗。 ただし、中国ではニンニクを餡に入れることはしないという。 (このことはマンガ『美味しんぼ』にも描かれていて、それをきっかけに世間では知られるようになったことではあるが、未だにニンニクなしの餃子を意外に思う人は多いようだ)。 あっしの友だちの中国人に言わせると、餃子の香りつけを大切にしたいから、中国では餃子にニンニクは入れないんだとのことだ。 ただ、中国でもショウガやネギは入れるし、少量だがニラも入れる。それからパクチー(香菜)やフェンネル、セロリなど、相当に香りの強い野菜も好んで入れる。 日本人の中には、こちらの野菜の方がにおいが強いと感じる人もいるだろうから、「香りを壊すからニンニクは入れない」という以外に理由があると、あっしは思っている。 あっしの考えでは――香りを大切にするというのは、中国の餃子の多くが水餃子(煮餃)か蒸し餃子(蒸餃)だからだろう。日本で一般的な焼き餃子は、中国では鍋貼(ゴーティエ)と呼んで、餃子の仲間に入れなかったりする。 ニンニクってえのは炒めたり揚げたりと、油とは相性が良いが――茹でたり蒸したりするってえと、あの匂いが臭みに感じて、妙に際立っちまうのさ(あっし自身は、中華そば屋で出てくる、ニンニクの効いた餃子は大好きだけどね)。 |
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| 焼き餃子には強い香りが合う? | ||
| 繰り返すが、最近ちまたで見かける春巻のように長い焼餃子は、中国ではゴーティエと呼ばれている。ゴーティエには、ほかにも元宝鍋貼(げんぽうゴーティエ)という、昔のお金・元宝――馬蹄銀に似たものがあり、現世利益(げんぜりやく)を好む中国人らしい一品もある。 まあ、こういった点心には、形やレシピによる明らかな境界線というのはない。 餃子でありながら春巻の形をしていたり、シュウマイの形をしていたり――また、国や地域が変わると名前が変わったりするケースも多いんだ。 中国やインドのチベット人地区や、ネパールでも餃子は好んで食べられている。 これらの地域で中心に食べられているのも、日本と同じく焼餃子だ。餃子とは言わず、「モモ」と呼ばれ、具には羊の肉が中心に使われているんだ。 まあ、たしかにマトンやラムの水餃子や蒸餃子なんて、考えただけでも匂いがここまで込み上げてきそうで感心しないやね。 当然ながら、焼くのが最良のレシピと言えるだろうよ(羊は独特の匂いがあるので、中国でも羊肉餃子はネギなどの匂いの強い野菜を混ぜ、焼餃子にして食べる)。 また、インドには「サモサ」といって、ジャガイモや青豆をスパイスで味付けして、小麦粉の皮で包んで揚げる、インド風の野菜揚げ餃子がある。 三角形で、こいつは北京名物の北京ダック風味の揚げ餃子とそっくりな形をしているんだ。 もしかすると、なんかのきっかけで中国からインドに餃子が渡っていったのかもしれねえ。そう考えるとちょっくら面白いわな。 さて、次回は中国で主に食べられている水餃子や蒸し餃子などのバリエーション――そして、専門店ではどんな調理をして機器を使っているのかなどをお聞かせいたしやしょう。 じゃあ、そんなことで次回をお楽しみに! |
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