| 掲載日:2003年11月12日 |
|
||
| 白身の魚は旨いぜ! | ||
| さて、医食同源・寿司の特集もかれこれ1年くらいになる。 いくら話しても尽きることがないのが寿司の凄いところだが、まあ、今年いっぱいくらいは寿司で通して、次からまた新シリーズなんてことを、あっしは考えている。 てなわけで、今回は今まで触れなかった白身の魚をとりあげてみよう。 ところで、さっきも話したニューヨークの回転寿司屋では、日本通のアメリカ人から「寿司にはRed、White、Blueなんて呼び方があるそうですが、いったいそれは何デスカ?」なんて聞かれちまってよ。 これは向こうに行くとよくされる質問なんだが・・・Red、White、Blueってえのは、赤身の魚、白身の魚、青魚のことなんだよ。 これにはたいして学術的な意味はなく、単純に身が赤いか白いか、皮が青いかって違いだな。 ちなみにレッド・・・赤身はマグロ類など。身の中に含まれるミオグロビンに鉄が含まれているんで、赤身に見えるんだ。これは泳力の高い回遊魚に多い。 ホワイトの白身はヒラメやカレイ、スズキ、タイ、カンパチ、シマアジなど、文字通り、身の白い魚。 ブルーの青魚はメラニン系の色素が皮に含まれているもの・・・つまり、俗に言う「光もの」だな。コハダ、アジ、イワシ、サバ、サヨリなどを言う。 ともかくアメリカでそんな質問が多く聞かれるくらい、彼らの中に寿司が定着してきたってことだろう。 |
||
| めでタイ、ありがタイ、あやかりタイ! | ||
|
|
さて、白身のサカナといえば「タイやヒラメの舞い踊り」って言うくらいで、まず筆頭は何と言ってもタイにつきるだろう。 まあ、タイに関して言えば、医食同源でも改めて取り上げなきゃいけねえ大ネタなんだが、とりあえずここでは白身魚のネタとしてサラっと触れるくらいにしておこう。 |
|
![]() |
||
| これは『タイの刺身、酢みそとニンニク添え』を食べてみたいという、万葉集に収められている一首だ。この歌をみてもわかるように、タイというのはそれこそ万葉の時代から日本人に親しまれてきたサカナの王様だ。 その理由として・・・ 一つ。誰もが認めるその立派な魚体、優美かつ力強いその姿! 二つ。目出度いの「タイ」に合う、語呂の良さ! 三つ。晴れの慶事には欠かせない、日本人の大好きな赤い姿! 四つ。何と言っても、淡白であるながら濃厚な旨味。刺身にしてよし、焼き物にしてよし、煮物にしてよしという、その味の良さだ! 平安時代になるとタイは神事に用いられるようになり、その縁起の良さは現在でも続いている。 |
||
| タイは外国で不人気のサカナ? | ||
| ところが不思議なもんで、これほど日本では珍重され有り難がられているサカナなのに、外国では意外に冷淡な扱いを受けている。 アメリカじゃスポーツフィッシングの対象ではあるが、どうも一般的に食べられているとはいえないし、フランス人は何でも食べちまう下品なサカナだと嫌うみたいだ。 イギリス人に至っては、下層階級の食べる下魚だっていうんだから、いやはや連中の旨いもの知らずにも呆れ返ったもんだ。 もっとも、最近じゃ寿司の普及をはじめ、食文化の交流が進んできて、そのあたりは変わってきた。 あっしの知り合いがやってる、白金のイタリア料理店(イタリア人シェフの店)では、タイにローズマリーを添え、炭火でグリルしてエクストラバージンをかけた一皿が売りのひとつになっているが、これは外国人もやはりタイの旨さに気付いた例だといえるだろう。まあ、本当にサカナの味を知る日本人だからこそ、タイの本当の旨さを知っていると胸を張るべきだと、あっしは思うけどね。 |
||
| タイはこう捌きタイ! | ||
|
|
これで、板前だとタイがきちんと捌ければ一人前といわれるくらい、タイというのは包丁の基本が試されるサカナでもある。 タイはウロコが固いので、必ずウロコ引きを使う。細かいウロコは包丁を使って取り、かま下から刃先を入れて腹を裂く。 エラの付け根を切って、エラと一緒にわたを引き出す。タイは内臓も新鮮ならば珍味として味わえる、捨てるところのないサカナだが、それでもエラだけは極端に酸化が早いから食べない方が良い。 よく水洗いをしたら、アタマを落とし腹に刃を入れて、中骨に沿って包丁を引き片身をはがす。 このあたりの表現は、なかなか口で説明の難しいところだが、1月頃発売になるあっしの本にはイラスト付きで載せることになっている。 合わせて、どうか楽しみにしておくんなせえ。 |
|
| 寿司で食べタイ、刺身で食べタイ! | ||
| 寿司は新鮮なタイを最も美味しく食べるレシピのひとつだ。 ただ、寿司にしちまうと、あの優美な姿をお見せすることができないから、店によると「かぶと蒸し」や椀物にしたり、あら煮にして出したりするところも多い。 このあたりの料理は、板前の腕のみせどころでもあるんで、力のある職人にとってはやりがいのある仕事だ。実際、お椀物の美味しい寿司屋は、何を食べても美味しかったりするからな。 タイの場合、刺身にスライスする際、血合いを除くのがポイントだ。 この辺の仕事を雑にすると、生臭さが残るんで気をつけないといけない。 俗に「腐ってもタイ」なんて言って、タイに含まれるイノシン酸が酸化されにくい性質を持ってることは確かだが、だからといって鮮度が悪くても平気・・・ってことじゃない。 特に血合いの部分はアシが早いから気をつけたいもんだ。 寿司屋によると、水で5〜6時間戻した昆布の上に、刺身にしたタイを敷き詰め、軽く重しをして冷蔵庫に寝かせる・・・なんて下ごしらえをするところもある。 まあ、このあたりが見かけによらず寿司の手間のかかるところじゃないかな。 タイには「松皮造り」なんていうお造りもあって、皮付きの刺身にぬれ布巾をかけて、熱湯をかけてから氷水で身をシメるレシピがある。 この松皮造りをネタにした寿司も、タイならの味わいが楽しめる逸品だ。 どうぞいちどお試ししてくだせえ。 |
||
| ヒラメちゃんはコラーゲンがたっぷり♪ | ||
| もうひとつ、ヒラメは味にくせがないので、寿司の中でも花形的存在だ。 特にエンガワの淡白な味わいは、特に女性客に好まれる上品なものさね。 加えて女性のみなさまに申し上げると、ヒラメのエンガワには、あのコラーゲンがたっぷりと含まれている。 ご存じのようにコラーゲンは、細胞と細胞との間を結びつけるタンパク質の一種だ。女性のお肌を美しくする役割を果たすと言われており、近年サプリメントなどでも人気上昇中のアイテムになっている。 このヒラメのエンガワはヒレの付け根部分にあたるため、いちばんよく動かす部位なんもんで、よく締まって美味しいのさ。 生き物ってえのは不思議なもんで、そんな力を持った部位を食べると、その生命力をそのままいただけることになるんだな。ヒラメのエンガワは細胞膜を強くし、健康な組織を形成し、お肌を若返らせツルツルにしてくれるのさ。 お嬢さん! あなたのための食べ物だよ、こいつは! |
||
| ヒラメとカレイ、オヒョウ | ||
| ヒラメとくればカレイてなもんだが、世の中これくらい区別がしにくい魚もないだろう。 ギリシャの哲学者プラトンさんも、中国の伝承でも、『もとは一匹だったのが分かれてしまい、その相手を探して泳ぎ回っている』なんて口を揃えておっしゃってる。 昔からの見分け方には「左ヒラメに右カレイ」なんて言う。黒い表側を置いた時、顔が左にくるのがヒラメで、右にくるのがカレイだっていうんだ。 また、全般に売られているものとしては、ヒラメが大型、カレイが小型なんてイメージもあるが、こいつも絶対じゃない。 「右ヒラメに左カレイ」もいるし、大きさにしたって大鮃(オヒョウ)なんて体長2m、体重200kgにも成長する巨大カレイもいる。 ちなみに、最近は表示などがうるさくなってきたが、スーパーなどで売られてるもので、皮がなく、大きめの切り身で、意外と安値のものでヒラメと書いてあるのは、カナダやアラスカで採れた北大西洋産のオヒョウだったりする場合が多かったんだ。 オヒョウは寿司ネタにはオボロ以外には使えないというが、そんなことはない。 北海道や青森など国産ものは、肉まわりはよし、締まりはよし、淡白で深い旨味ありで、白身ネタにはもってこいなんだ。 さて、強いて普通の人がヒラメとカレイを見分けようとすれば、口の形の違いだろうか。 カレイがオチョボ口なのに対して、ヒラメは大きくヘの字に曲がっていて、わりあい凶暴な顔つきをしてるというところだ。 まあ、付け加えて言うならヒラメはカレイ目ヒラメ科に属する魚だ。ヒラメの方が圧倒的に高級魚として扱われるわけだが、生物学上の階級で言えばカレイの傘下に入るってことかな。 さて、今回はタイとヒラメの話で終わっちまったが、次回は寿司ネタでは人気のブリやハマチ、カンパチなんかをとりあげてみよう。 これから、こいつらは脂がのって美味しくなる時期だ。さーて。あっしもヒラメのコラーゲンで、少し若返りをするとすっかな。 じゃあ、お客さん! 次回もお楽しみにな! |
||
|
|
| Presented by 食材仕入ドットコム All Rights Reserved. Copyright© 2006, Food's-Foo 推進機構All Rights Reserved. |