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水産物 医食同源
これがマグロでえ!
掲載日:2002年01月07日

   まいど、まいど。明けましておめでとうございやす。イダテンのゲンさんです!
 いやはや、昨年はテロにアフガン空爆、狂牛病ととんでもない年だったのな。
 いや〜、それでお客さん。こちとら正月早々オーストラリアへ行ったけど、相変わらず海外に行く日本人は減ったままみてえだ。日本人はみんなご同業の水産人ばっかときてやがる。くははは!
 けどよ、国内旅行は比較的安全ってんで、スイサンドンヤ・ドット・コムさんの注文はうなぎ登りだぜ! おかげで、こちとら不景気だってえのに忙しくってしかたねえ。ま、ありがてえ話だけどよ。
 さーて、前回昨年はマグロの種類で話が終わっちまったが、今回はマグロの買い付けや冷凍の方法なんかをお話いたしやしょう。
   世界をまたにかけるマグロ商人たち
   マグロでいちばん難しいのは、何といっても買い付け…仕入れなんだ。
 こないだのオーストラリアでも、マグロの買い付けに来ているヤツなんかは、鵜の目鷹の目…まあ、ヤツらときた日にゃあ、同じ仲買人でもちょっと違う。もちろん、マグロってサカナは日本人にとって特別な魚だからだ。
 オーストラリアから南大平洋、アフリカはもちろん、イスタンブールやスペインなどの地中海から、ボストンなどの北大西洋まで、マグロを扱う連中が跋扈(ばっこ)するんだ。
 まったく、マグロの上物…特に生のホンマグロってヤツは、時に1本何1000万という天井知らずの値がつく怪物だ。そんなホンマグロを求めて、大手商社から一匹狼の仲買人たちは、商人としてのプライドをかけて、壮絶な死闘を繰り広げるワケさね。
 ま、それはそれで面白い話なんだが、はっきり言って食い物云々ってハナシじゃねえ。また、生マグロはスイサンドンヤ・ドット・コムさんじゃ扱ってないし、もちろん『医食同源』のテーマとはかけはなれちまうから、別の機会にお話いたしやしょう。
   冷凍マグロには目利きが必要!
   さて。現在、市場に出回るマグロのほとんどは冷凍ものだ。なんべんも言うけど、吟味した冷凍は、生をはるかに凌駕する。
 でもマグロの冷凍…これにはプロも泣かされるぜ。なにせ、1本数100万はくだらないシロモノだ。脂がのり、身も締まっているだろうと思って仕入れてみても、冷凍がとけるとグズグズだった…なんてえモノも少なくねえ。
 それというのも、マグロってヤツは採れた場所で当然味も違うし、3ヶ月冷凍と半年冷凍とでも変わってくる。それから船の大きさや冷凍設備にも差があるなど、さまざまな条件があるから、そいつらを判断して仕入れるのは大変なことなんだ。
 なにしろマグロの善し悪しを決める判断基準は、尾っぽの切ったトコだけだろ。生のものならいざ知らず、冷凍ものなんてコチコチで判断するのが難しいんだ。
 昔はサシなんて道具があって、マグロの体から中身を取り出して脂のノリを判断できたけど、今は衛生上の問題から使えなくなっちまった。脂の深さが3cmのものと5cm のものじゃ、3倍くらい価格に違いが出る。(もちろん5cmのものの方が上だ)。この判断は本当に難しいぜ。
   マグロだけは別格でえ!

 

 仲買人にはエビ類を扱う『エビ屋』や、アジやサバなど魚屋で売ってるような水産物を扱う『合もの屋』、それから寿司ネタ専門、天ぷらネタ専門の連中などがいるけど、 マグロを扱う仲買人というのは特別な存在だ。
 なぜっかって、こいつらはマグロばかりを扱うからさ。1種類の水産物を扱う連中なんて、『マグロ屋』くらいのモンだろうな。それも近海もの、冷凍もの、カジキ専門などに細分化されている。ま、あらゆる水産物においてマグロだけは別格ってえコトさ。
   戦場! マグロのセリ場
   マグロのセリは戦場だ。売れれば儲けも大きいけど、失敗すれば奈落の底だ。一家離散やどうにもならなくなって首をくくったなんて連中を、あっしは何人も知っている。
 セリ場に行くとマグロに1から順番に番号がついていて、そのナンバーでお買い上げってシステムになっている。この番号は仲買人がつけるんじゃなく、船主がつけるんだ。番号が若いほどオススメ度が高く、値段も張ってくる。
 だが、なんせ自然のものだ。定規で測ったようにはいかねえし、値段との折り合いもある。だから、船主のイチオシは1番でも、仲買人によっては、2番3番狙いでセリがはじまるケースも少なくない。セリ場ではまさに火花を散らす駆け引きが行われるんだよ。
   板子一枚下は地獄でえ!
   そんなマグロたちを運んできてくれるのが、遠洋マグロはえ縄漁船だ。
 お客さんもマグロ漁船のイメージは持ってるだろ? 鳥羽一郎じゃないけど、『板子一枚下は地獄』って世界をよ。確かにこれはウソじゃねえ…というより、シロート衆の想像を遥かに超えた世界だ。
 マグロ漁船は一度港を出ると1、2年は戻ってこない。正確に言うとマグロ漁船がマグロでいっぱいにならない限り、帰ってこれないんだよ。
 もちろん日本近海で漁船がいっぱいになればいいが、昔のようにマグロがいっぱいいるわけじゃないから、どうしても遠洋漁業の長い航海になってしまう。漁場が遠くなればなるほど長期間、海にいてマグロを採りつづけなければならないんだ。
   長〜い長〜いマグロ航海
   マグロ航海はエサの積み込みからはじまる。サンマ、サバ、イカ、イワシ、ムロアジなど、1000トンもの冷凍したエサを積み込むんだ。帰ってくる時には、積み込んだエサがなくなり、そのかわり冷凍マグロがぎっしり積み込まれればOKって寸法さ。
 南インド洋までなら、およそ20日間の旅。南アフリカはケープタウンまでなら、約30日と長〜い長〜い航海のはじまりさ。
   マグロの漁場はよお〜、男の死に場所さあ〜♪
   漁場に着くまで約20日間の船員の生活は規則正しい。漁具の整備や、2人1組のワッチ(見張り)をするなどの繰り返しだ。嵐の前の静けさってカンジかな。
 だが、漁場に到着するやいなや、すぐさま戦闘開始だ。全長なんと150kmにも及ぶはえ縄に3000本の釣り針という、マグロ漁船を知らない人は、このスケールにびっくりだろうな。
 漁は午前3時から4時からの『投縄』(とうなわ)にはじまり、『網待ち』『揚げ縄』という順序で行われる。1回の作業時間に13〜15時間はかかる強行軍だ。
 まず『投縄』は文字通り、エサを縄につけて海に投げる作業だ。…なんて簡単に言ったけど、縄の長さは150kmに3000本の釣り針だぜ! おまけにエサはいちいち手作業でつけなきゃいけねえから、こいつは大ゴトなんだ。5人くらいの乗組員が、交代しながらかかりっきりさ。6秒で釣り針にエサをつける早業をしても、4〜5時間や休みなしの作業が続くんだ。
 『網待ち』はつかの間の休息だ。(2〜3時間くらいかな)。ただ、船員たちはその合間を利用して、漁場の水温調査などのデータ集めするんだ。
 そして仕上げはいよいよ『揚げ縄』だ。毎秒3〜5mのスピードで、グングン縄が引き上げられる。次々に巻き上げられてくる縄の処理は、とにかく迅速にこなさなければいけねえ。
 そして釣り針にマグロが引っ掛かっていたら、ラインホーラーと呼ばれる揚げ縄マシーンを、いったん止めてマグロの処理に取りかかる。
 グズグズしてたらマグロがクサっちまうぜ! なんせ、1本数100万するかもしれないマグロさま御一行だ。
マグロが船上で暴れて、肉が劣化でもしたら大ゴトよ! 
 引き上げられたマグロは、すぐさま尾を切断し、エラを切って血抜きをする。そして頭から脊髄をブッスリ刺して、体温の上昇を防ぐシメ処理だ。アシの早い内臓とヒレを除去し、さらに水洗い、重量測定、冷凍室作業という手順でマグロとの戦争はクライマックスを迎えるんだ。
 これには船長だ何だ言ってられねえ。船員が一丸となって、この正念場を迎え討つのさ。
   マグロ漁はワリに合わねえ商売?
   こんなとんでもない作業が、マグロが採れるかぎり、ひとつの漁場で何ヶ月もぶっとおしだ! ひとつの航海につき300回は繰り返されるという壮絶さだ。
 この労力に対して、150kmの縄にかかるマグロの数は、一度に7本もあればいいんじゃねえか? まったくワリに合わねえ商売かもしれねえな。
 何? でもマグロ漁船は、労働も厳しいが給料もいいだろうって?
 ウーム。たしかに悪くはねえかもしれねえが、一流企業や銀行の管理職の方が良いくらいじゃねえか?
 マグロ漁船員の給料が良かったというのは昔の話で、労働が厳しいという点は変わらないが、以前と違って、年を食っても以外に給料が上がらないんだよ。
(ま、近頃じゃ普通の会社のお父さんたちも、給料が上がらないってか…)。

 

   スイサンドンヤ・ドット・コムさんの冷凍マグロ
 

 こうして水揚げされたマグロは、マイナス60℃という超低温で急速冷凍される。瞬間冷凍と言いたいトコだが、なんせ100〜200kgのマグロの漁体だとそうはいかない。約35時間もの間冷やしつづけ、やっと魚体の芯まで凍結させるんだ。
 こうすることによって、細胞の中に含まれている水分は細かく細かく凍結するのさ。つまり生きている時に近い状態で凍らせるわけだな。だから、スイサンドンヤ・ドット・コムさんのマグロ一覧は、生と変わらない鮮度でみなさまの食卓にのぼるんだよ!
 反対に細胞内にある水分の結晶が大きいほど、肉質は変化する。解凍した時にドリップと呼ばれる肉汁が出るのも、その時さ。大きな水分結晶が溶ける時、水分と一緒に肉の旨味までもっていってしまうわけだな。
 マイナス60℃で処理されたマグロは、市場に出されて解凍されてから死後硬直がはじまるくらいなんだ。

   マグロのメト化って何?
   またマイナス60℃凍結には色が変化しないというメリットもある。
 切ったばかりのマグロの断面は、暗い赤紫色をしている。これはマグロの筋肉色素ミオグロビンが、空気にふれていない時の色だ。
 しばらく時間がたつと酸素とミオグロビンが結合し、オキシ・キオグロビンが生成され、鮮やかな赤に変化するんだ。まあ。いちばんマグロが美味しく見える色だよな。
 これを過ぎると、オキシ・キオグロビンはメト・ミオグロビンに変化し、身の色が褐色になってしまうんだ。これを俗にメト化というんだ。冷凍温度がマイナス20℃程度だと、冷凍保存している間にメト化が進み、色がわるくなることが、ままあるんだね。メト化はマイナス35℃くらいを境にグッと低下する。
 マイナス60℃だと2年は保存できるようになるんだぜ。
   マグロの美味しい解凍法
   解凍の時に問題になるのがやはりメト化だな。長時間かけた自然解凍はメト化を促進するから禁物だ。
 いくらスイサンドンヤ・ドット・コムさんのマグロが美味しいからって、戻し方間違えたら何にもならねえからな。
 冷凍マグロの戻し方は何にもまして大事なんだ。ホンのちょっとした気のゆるみで、アンコ、チヂレ、変色、ドリップなどなど、味のみならず色や食感…すべてが台無しになってしまうのさ。だからよ…あっしが上手なサクものの解凍法を教えてやるぜ。
  1. まず20〜30℃のぬるま湯1リットルに、塩35gをよく溶かす。
  2. 食べる分のマグロサクをフリーザーから出して、表面を流水で洗い、1の水に約5分入れてから取り出す。
  3. マグロの表面についた水分を布巾で拭き取る。
  4. 3のマグロサクを布巾かペ−パータオルに巻いて、ラップをする。常温で15分放置したら冷蔵庫へ。
 どうでえ、簡単だろ?(ブロックにはまた別の解凍方法があるんだが、スイサンドンヤ・ドット・コムでは、ひとつひとつの注文の中に説明書が入っているんで、ここでは省いておくぜ)。
 さあて、あっしはこれから銀座の某寿司屋で忘年会さ。大トロやヅケもいいんだが、そこはネギトロが最高でな。何てったて、スイサンドンヤ・ドット・コムさんの特上スキ身の使用だ。マズいわけがねえや。
 へへへ、寒い時期になってきやがったぜ! こんな時はぬる燗で寿司をつまむなんてえのも、オツなもんじゃねえか。
   
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