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水産物 医食同源
夏バテにはアナゴがいいぜ!
掲載日:2001年8月29日

   まいど、まいど。イダテンのゲンさんです!
 それにしても、お暑うございます。ワシは先週まで、エビの仕入れでインドのコーチンまで行ってきたんだけど、今の時期だけを比べてみると、日本の方が暑いくらいくらいですよ。なんだか、日本も年々インド並みに暑くなってきますな。ウ〜、アチチ! 
 さてさて、皆さん。夏バテはしてませんか? 
 え? 何。当り前だ? 暑くって、仕事になりゃしないって。もうバテバテなのにビールばっかり飲んでるから、ハラばかり出てきて仕方ない?
 がははは! そりゃあ、若いのにいけねえな。こちとら自慢じゃねえが、前にも言った通り30年以上も河岸に勤めて、いちんちも休んだことがねえんだ。旬のサカナ、毎日食べさしてもらってるおかげでね。

 さて、今回は夏バテ解消もかねて、アナゴの話でもしやしょうか。
 夏バテといやあ、ウナギがまっ先に出てくるけど、アナゴもいいもんだよ。ハモなんかもそうだけど、ウナギ目って言う同じ仲間さ。長くってヌルヌルしていて、何となく力がつきそうだろ?
 食い物ってえのは、『何となく力がつきそう』とかっていうイメージも大切なのさ。
 ウナギは江戸時代に、山東京伝だか平賀源内とかっていう山師が、ウナギ屋さんのために『夏の土用・丑の日はウナギを食べよう』なんて考えたコピーライトが大当たりしたわけど。ま、実際に効き目もあった上、養殖技術の発達と合わさって、夏を乗り切る食べ物として普及し定着したんだな。

 アナゴはウナギほど夏バテ解消の売り出し方はされてねーけど、ウナギほど脂っぽくなくアッサリとした旨味が女性にも人気の原因さね。ちょうど夏を過ぎた今が丁度いい時期だよ。
 ま、正直言うとアナゴは一年中美味しいがね。いちおう、旬と言われてる春から夏にかけては漁獲量が多いいとか、冬はあんまり採れないとかあるけど…。1年を通じて特に味の落ちる時期のないネタがアナゴさね。
 まあ、ワシは今の時期のアナゴが好きだから、ここで取り上げさせてもらうんだけど…。それにしてもアナゴってえのは生命力に溢れたサカナなんだよ。

   アナゴの生命力、いただきます
   知ってるかい? アナゴの大旅行を。
 アナゴはウナギ同様、あまりその生態がわかってないんだが、どうやら九州の南西諸島海溝あたりで産卵するらしいいんだ。アナゴの産地は江戸前の東京湾を筆頭に、伊勢湾、瀬戸内海、福島県は常磐など、日本全国に広がっているけど、そんな遠距離を★何100〜何1000キロもの長い道のりを産卵のためにひたすら泳いでいくんだから、大変なパワーさ。もちろん産卵が終わったら精魂尽き果てて死んでしまうがね…。
 孵化した稚魚は半透明で、柳の葉っぱ状の平たい姿をしてるんだ。似ても似つかんよ。こいつは正しく言うとレプトっていうんだが、ワシらはノレソレって呼んでる。そうさね、ワサビ醤油なんかで食べるとなかなかイケるもんだぜ。そいつが親サカナの実家まで遡って泳ぎ続けるんだから、生き物ってえのはどうにも不思議なもんさね。
 まあ、アナゴもウナギもビタミンAが豊富とか、栄養学的にどうとか、色々みなさんおっしゃるけど、ワシに言わせりゃ、そんなリクツは後からついてくるもんだ。正直いってサカナは医薬品じゃねえ。それよりも、そんな遠くまで泳いでいけるアナゴの生命力、そいつをいただいて元気になって欲しいわけだ。
   大食い王アナゴ
   さて、アナゴは穴が好きだからアナゴっていう説もある。砂や泥に自分で穴を掘って、アタマだけのぞかしてんだ。それで小魚なんかが近づと猛然と穴から飛び出して、ガブッっと食らいつくわけだ。 こいつらはすげーぜ! アナゴどうしを過密に生簀に入れておくと、お互いガブガブと噛み付きはじめて、さあ大変だ。
 そしてアナゴは小ザカナ、エビ、カニと何でも食べる。あの細い体に似合わず、TVチャンピオンの大食い王みたいに食べる食べる食べる! その上、かなり凶暴でな。ワシも取引先の漁師さんの夜釣りにご一緒させてもらった時、指を噛まれてえらい目に遭ったことがあるんですよ。
 面白いもんで、ウツボとかオコゼとかもそうだけど、凶暴でグロテスクなサカナほど身が淡白であっさりしてたりするんだけど、アナゴもその部類かな。

 煮てよし、焼いてよし、揚げてよし! なにをしようと味はよし

 アナゴはウナギに比べると脂肪が少なく淡白だから、その分だけ料理方法がいっぱいあるんだよ。
 煮てよし、焼いてよし、酢の物、天ぷら、それから鮨ネタは言うに及ばずだね。採れたトコの肉質に合った食い方があるから、料理人にとっちゃ面白い素材だよね。ワシのお客さんにも、アナゴに一生かけてるなんて人も少なくないよ。

   東西アナゴ対決

 

 それからやっぱり、東と西で嗜好が全然ちがうよね。東京は鮨ダネにする煮アナゴや天ぷらが主流だけど、関西は焼きアナゴが中心だよね。当然、素材の好みや評価も東西で全然違う。
 結論からいうと、関東は泥地の海底に棲む身のやわらかいアナゴ。関西は砂地の海底に棲む身の締まったアナゴが好まれるんだ。
 これはどういうことかって言うと、煮アナゴや天ぷら★特に煮アナゴは身がやわらかくて、新鮮なものでないといけないってこと。活ものの身がやわらかいアナゴを煮ると、さっきまで生きていたため、盛り上がるようにふくらんで、口に入れたときに何ともいえないふっくらした舌触りになるんだな。
 それが、身の固いイキのわるいシロモノだと、どんな素晴らしい料理人が煮込んでも、潰されたように締まって固い感触になってしまうんだよ。
 逆に焼きアナゴってのは串に刺して焼かないといけねえだろ。あんまし、やわらかいと串から焼け落ちてかえってマズいことになるわけだ。

   焼きアナゴ・煮アナゴ
   東京湾は羽田あたりのアナゴは、煮アナゴに適しているね。あの辺は湾の比較的奥で、栄養分を含んだ川の水が注ぎこんだ泥地になってるんだ。潮の流れがなくってエサもいっぱいあるから、身のやわらかいアナゴになるんだよ。あの辺のアナゴってえのは、アタマが小さくって肥え太って、金色がかった茶褐色をしてるんだ。
 お客さん、これを煮アナゴにしてみな。もう舌の上でとろけるようだぜ。まあ、もちろんいい料理人にやってもらえばの話だけどね。

 焼きアナゴは東京湾でも千葉サイド、あと瀬戸内海のアナゴがいい。砂地や沖合いの泥地になってるから、エサは豊富にあるんだけど、潮流が適度にあるおかげで、身が締まってて焼きアナゴにゃあ丁度いいんだよ。このあたりのアナゴは白っぽい灰褐色をしてるんだな。
 東西で好まれるアナゴがちがうってえのは、こんなワケなのさ。
 それから関西は腹びらき、武士の町だった江戸の関東では切腹を忌みきらうんで背びらきなんていう…そんな、さばき方の違いもあるよね。

 そうそう。あと、岩場のアナゴてえのもあったな。外海や韓国産のアナゴがそうだよ。けど、潮流が激しすぎるトコで採れたやつは身が固すぎるし、やせてて旨くねえ。色は黒っぽい褐色で、ツラもでかくって馬みてえだぜ。まあ、そいつは忘れてくんな。

   スイサンドンヤ・ドット・コムさんの活〆・煮アナゴをどうぞ!
   ところで冷凍の煮アナゴを食べて『冷凍はこんなもんかい』って、思ったことがないかい?
 繰り返し言うようだが、『冷凍モノ』が味が落ちるとケースというは、ワシに言わせりゃ業者の努力不足だね。今の冷凍技術というのは、そりゃたいへんなものなんだ。
 素材を吟味して、加工に工夫をして、適切な冷凍&解凍をすれば、『冷凍モノ』は下手な生モノより美味しくなるもんなんですよ。

 スイサンドンヤ・ドット・コムさんの活〆・煮アナゴは、中国・黄海沿岸で漁解禁時期に捕れたもを使っているんだ。延縄によって漁獲された釣りものアナゴのみを使っているから、傷も少なくワタや肝のツブれがねーんだよ。鮮度はこの上なくバツグン!
 透きとおった身の色と黄金色に輝く魚肌で、脂のノリも味も最高だぜ!
 アナゴは生きたまま即座に水揚げ港に運ばれ、港で海水と氷で〆られる。それを工場に搬入したあと、開き加工し、洗浄して選別されるんだな。
 その後アナゴは水きりされ、秘伝のタレに一晩じっくり漬け込みされる。(このタレの作り方は門外不出だからな…へへっ、わるいけど教えるワケにはいかねーよ)。そいつをじっくり煮込んだあと、タレを切って真空包装でパッキングさ。
 あとは冷却→急速冷凍して箱詰めって寸法さ。手間かかってるだろ? だから、『冷凍モノ』ったって、活アナゴをその場で調理した味と変わらねーんだぜ!
 おまけにソリなし(アナゴは皮と身の収縮率が異なるので、ソリが生じやすい)。5尾、10尾の小口の真空パックだから使いやすいんだ。袋のまま湯煎で食べることだってできるんだ
 もちろん殺菌は完璧になされているから、安心して食べておくんなせえ。

   天ぷらもイケるぞ
   さて、サカナってえのは、『何でも採れたてが甘くて一番ウマいんだ』と思い込んでねえかな? そりゃ、採れたての新鮮なサカナはウマイに決まってるけど、必ずしもベストの状態とは限らない。採れたてのサカナなんて、みんな甘く感じるもんだけど、それより少し時間をおいた方がよかったりする場合もあるのさ。
 え、そのくらいは知ってるってか。アミノ酸が分解される時間があるから、サカナによってはあげてから少し時間をおいたほうがいいんだろって
 失礼しました。玄人のみなさんに、失礼なこと言っちまったな。許しておくんなせえ。

 さて、アナゴに関して言うと、調理については活ものが一番で、つぶしてから間をおかないほうがいい。でも、必ずしも朝揚げで採れたて釣りたてのやつを、すぐにさばくのがいいとは限らねえ
 さっきも言ったけど、アナゴってえのは獰猛なんだ。何でも食っちまうから、そのままだと若干臭いが残る。アナゴのきらいな人は、この臭いをいやがるんだな。
 だから落とし水を生け簀で一晩水に打たせて、悪いもんをみんな吐かせてから使うほうが、変な青臭さが抜けてウマいんだよ。アナゴにはニカワ質のヌルッとした皮があって、これを強火に通すと香ばしさに変わるんだ。

 天ぷらにする場合は、この皮目から早く脱水させた方が香ばしくなる。だから油に入れる前に、鉢のフチで皮目の方についた衣をこそげ落とすんだ。衣の厚さは皮目が1に対して、身が2の割合だ。180〜190℃、これはあくまで目安だが、高温の油で約2分強。パチパチと音が変わり、水と油が塩梅よく交換されるのを確認したら引き揚げ時だ。
 ジュワ、サクサク…。くうっ! く、口の中にアナゴの甘味が広がって、おううう、たまんねえや。 

 よーし、今日の仕事はしめえだな。それじゃ兄さん、論より証拠だ。ついてきな、ワシがホントに旨いアナゴを食わせてやるよ。

   
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