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水産物 医食同源
サカナの美女・サヨリは今が食べ時ときたもんでぃ!
掲載日:2001年5月1日

   まいど、まいど。イダテンのゲンさんです!
 いや〜! いい季節になったよな。けど、こちとらゴールデンウイークに向けて大忙しさ。ワシのお客さんはGWがカキ入れ時ってえ人が多いからな。客商売ってえのは人が休みの時が勝負なんで、ワシも毎年おつきあいさ。
   サヨリのお通し、一丁上がり!
   さて、今回は今が旬のサヨリについて話そう。
 こないだちょいとした居酒屋で、たまたまサヨリをいただいたんだよ。いやね、どうにもその味が忘れらんねえんだな。えっ? 人がモノ食べて美味しかった話なんて聞きたくねえってか? そりゃわかるけど、まあ、そう言わず聞いてくれよ。
 そこはワシがサカナを卸してる居酒屋なんだ。関西から来た小さなチェーン店なんだけど、そこそこの値段でそりゃあ旨いモンを出す。そこが銀座に店を出すってんで、ちょいとご機嫌うかがいにいったらよ…お通しに何と『サヨリの昆布じめ』が出てきたのさ。
 そいつがアンタお客さん、ウメえのウマくねえのって…! いや〜、気に入ったねえ。ワシのサヨリちゃんをこんなに美味しくしてくれてさ!
 『サヨリの昆布じめ』は文字通り、昆布をぬれ布巾で拭いてから、皮をひいたサヨリを2〜3時間置いてシメるシンプルな料理だ。ここの居酒屋のものは、それにポン酢醤油と青じその千切り、紅葉おろしで食べるっていうシンプルなレシピさね(昆布には利尻の極上コンブを使ってるんだぜ)。
 作り方だけから言うと『サヨリの昆布じめ』なんて、比較的簡単に思えるようだが、こいつをお通しで出すとなるとなかなか大変なんだ。サヨリに昆布の旨味をしみ込ませる時間を、来る客来る客で、管理しないといけないからな。 
 でもお通しだよ、お通し! たかがお通しと思うかい? そこがトーシロの赤坂見附だ。ワシに言わせりゃ、お通しってえのは店の看板さ。古くなった余り物でお茶をにごそうなんて根性の店はロクなモンじゃねえや。
 お通し、突きだしの美味しい店ってえのは、ウマいモン食わせようって気概のある証拠さね!
 まあ、このチェーンさんには今後、良い品をお安く提供させてもらうよ。ワシの仕入れ先には少々泣いてもらうケドな。がーはっはっはっは!
   どう呼ぼうとサヨリの味はサヨリ
   サヨリは細魚、針魚と読んで字のごとし…じゃなく書いた字のごとし。
 高知の呼び名はサイラ、サイチ。松江じゃあスクビ。新潟じゃハリウオと呼ばれていて、全国津々浦々の沿岸を泳いでるのさ。
 それから東京じゃあサヨリの大きなものはカンヌキっていうんだ。今は実際の閂(かんぬき)自体、あまり使われなくなってきたから、こいつはあんまり一般的な呼び方じゃあない。ただ、長くて太いその形から、そう呼ばれるようになったワケだ。 カンヌキと呼ばれるには、重さは120g以上。あぶらのノリも身の締まりも良いヤツでないといけねーんだな。そいつがちょうど今頃のサヨリさんってえワケさ。
 ちなみにサヨリの語源は産卵などの時に沢に寄るから、『沢寄り』が転じてサヨリ…なんてワシの駄洒落みたいな説が大真面目にあったりする。笑わせやがるが、古くはヨリト、ヨロト、ヨロツと呼ばれていたそうだから、あながち何ともいえねえや。
 英語じゃハーフビーク、つまり半分のクチバシ。学名のヘラミンパスも同じ意味さね(まあ、向こうの連中がサカナを呼ぶ時ってえのは、なんとも見たそのままで味も素っ気もねえもんだ)。
 まあ、何と呼ぼうとサヨリのあの上品な味は変わるもんじゃねえけどな。
   空飛ぶサヨリちゃん

 

 さて、サヨリはトビウオの仲間だって知ってるかい。そーいやあ、近縁のサンマさんほどじゃあないけど、体形も何となく似てるだろ? おまけにサヨリもトビウオ同様、マグロなんかのでっかいサカナに襲われたりすると、水の上をピョンピョン飛び跳ねて逃げるんだぜ。
 サヨリの仲間にダツという、 やはり細みで下顎の出たよく似たサカナがいるんだが、こいつも同じように水面を跳ね回る習性があるんだ。サヨリやダツの水面を跳ね回る習性が発達して、トビウオの滑空飛躍になった…なんて説もあるが、まあ何とも言えないやね。
   サヨリの旨味、いただきます!
   トビウオにくらべると、サヨリってサカナは脂肪分が多い。
 だから、サヨリを塩焼きにすると美味しい。その上、サヨリにアミノ酸の旨味成分が多く含まれており、塩をふるとさらにそれが引き出されるからだな。
 また『サヨリの昆布じめ』が美味しいのは、昆布に含まれるグルタミン酸が、サヨリの身肉に移ってさらにコクを出すからなんだ。
 余談ながらサヨリの身をひく時は、皮の下にある銀色部分をなるべく取らないよう、薄くひくという一級の技術が必要なんだ。そんな意味でもこのサカナは職人の腕が試される素材かもしれないな。
 その点、スイサンドンヤ・ドット・コムさんのサカナは、どれもサバいた状態で冷凍されているから、少々技術がいるサカナも簡単に調理できるってえ寸法さ。
 旨いサヨリ、すぐに入荷するぜ! どうぞ食べておくんなせえ!
   腹黒いぞ、サヨリ
   サヨリの身は白身で淡白なのが特徴だ。見かけと一緒で味も上品だろ? ま、サカナってえのは見かけが下品なヤツほど、食べたら淡白で品がいいなんてことが多いが、サヨリはちょと違う。
 腹黒いんだよ。こいつはさ。
 腹部を開いてみればわかるんだが、その腹腔膜はあのスマートな体形からは想像できないほど黒い。腹黒い美女ってワケか…味もだからイケるのかもしれねえな。でもまあ、お客さんに出す時は、この黒いのをきちんと取らねえと商品にならねえ。真っ黒な『サヨリの椀もの』なんて食いたくもねえだろ?
 サヨリは細長いわりには 身がしっかりついていているが、そんな大きなサカナじゃないから、いじりすぎるとゆるんでしまう。酢じめ、塩焼き、糸造りや椀ものなどが、シンプルな食べ方がおすすめさね。
   冷凍が旨いぜ!

 

 さっきも言ったように、サヨリは旨味の多いサカナだ。食べ方としては、イキナリ生で食べるより、上手に熟成させるのがポイントさ。
 日本人は何でも採りたてを有り難がるが、採りたてが何でも旨いってえワケじゃねえ。前にも話したかもしれねえが、採りたてのサカナなんて、みんなプリプリして甘いのさ。TVのグルメ番組じゃ、タレントたちがガン首そろえて、バカのひとつ覚えみたいに『甘い甘い』を連発しやがるけど、当たり前の話さね(それに、採れたて生のモンはそうそう沢山は食べられるモンじゃねえんだ)。
 シメたあと、どう熟成させて、どう調理するかで、その食材の特徴が出せるワケで、大切なのはその素材をベストタイムでどう食べるかなのさ。
 スイサンドンヤ・ドット・コムさんの冷凍が旨いのは、そのベストタイムの旨味を封じ込めてるからさ。一番サカナが美味しくなる熟成タイムに、超冷凍で瞬間冷却する(その一方で、ホタテなんかはパクパク動いて元気なうちが一番旨いから、生きたまま冷凍するんだ。かわいそーなホタテさん、ゴメンなさい)。
   サヨリの熟成法
   刺身やスシネタのサヨリは、三枚におろしたあと、立て塩をふって数時間冷蔵庫に保存しておく。するってえと熟成がほどよく進み、旨味成分が引き出される寸法さ。おまけに水分が減るので、脂肪分の割合が高くなるんだ。こいつを刺身やスシにして食べてみな!
 えっへっへ。サヨリの上品な旨味とほんのりしたあぶらが、 口の中で何ともいえない余韻となって広がってよ…。けーっ、たまんねえぜ、こいつは! …てなもんでえ!
   干物で食べよう!
   こんな旨味の引き出し方をさらに押し進めたのが、サヨリの干物さね。
 山口県や大分県など、瀬戸内海に面した地域には『サヨリの丸干し』あるいは『素干し』なんてえ土産もんが、よく売られている。これがよ…固えーんだな。ワシ、まだ歯は丈夫だから噛みきれるけど、これ以上水分は絞れねえだろうってくらい、十二分にかたく干されてある。
 しゃぶると意外にあぶらっこいのは、水分が減った分、脂肪分率が高くなったからだろうな。旨味も相当なモンだぜ。よかったら一度食べてみな。軽く炙ったら、酒の肴やお茶漬けに最高だよ。
   サヨリの美味しさはエビ、カニのおかげ?
   サヨリの旨味の秘密は、エサにしているカニやエビなどの幼生のせいかもしれねえな。
 海のモンの味はエサで決まるといっても過言じゃねえ。鮎は川底についた苔を食べるから、あの独特の香りがあるわけだし、ウニは昆布を食べるから旨味タップリなんだ(インドで食べたウニは見かけは立派だったけど、ひでえ味だったからな…)。利尻産のウニは利尻の昆布を食べるから美味しいワケさ。
 そんな、サヨリの産卵はちょうど旬の今頃からピークになる。 藻のあるところに10数尾、群れはつくって出現して産みつけるんだ。稚魚は意外に大きく全長8ミリほど…10日ほどすると体長は12ミリくらいになって、下顎がすでに伸びてきはじめる。そのころすでにカニやエビなど甲殻類の幼生をエサにしだすんだな。旨いモン食べりゃあ、そりゃそいつも美味しくなるよ。
 サヨリは釣り人にも人気があって、ゴカイやイソメ以外に、やはりエビのムキ身を細かくしてエサに釣るみたいだよ。
 さてさて、スイサ ンドンヤ・ドット・コムさんもそろそろ入荷! サカナの美女・サヨリは今が食べ時。あの細みの体を思う存分いただこうや!
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