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水産物 医食同源
水産物、医食同源・サカナは体にいい!
掲載日:2000年11月20日

   はじめまして、ワシは魚河岸では『イダテンのゲンさん』で通ってる、サカナの卸売業を営んでる男です。
 スイサンドンヤドットコムさんから、食について何か書いてくれっていわれちまって…どうもワシは書くのはニガ手なもんで、まあ、こうして話をしたことをまとめてもらうことにしやした。ワシやワシの仲間たちが、毎回もちまわりで話をしやす。言葉はちっとばかし乱暴ですが、言うことはマトモなつもりなんで、どうぞよろしくたのんます。
   スイサンドンヤさんから頼まれたテーマは『医食同源・サカナは体にいい!』てことです。いやね、実のトコ…そいつは、長いことワシの個人的な研究テーマだったんだけど、ワシはわざと彼らにこう言ってやったんですよ。
「ふざけんじゃねえや。海のものってえのは、何だって体にいいもんだ。生き物ってのはみんな海から来てるんでえ! だから海のものを体に取り入れたら、健康にいいくれえのこたあ、誰だってわかりそうなモンだろーがよ」ってね。
 そしたら、「いや、それだけじゃダメなんです。読者にはある程度、論理的な説明が必要なんです」なんて当り前の答えが返ってきやした。
 まあ、ワシの言ったことはちょっくら乱暴でしょうが、でも、食い物がどう体にいいかなんてえ話は、だいたいにおいてリクツが後からくるもんでね。
 むかしから中国人は『肉よりサカナを食べた方が頭にいい』と言っていたそうですが、最近になって、サバやイワシなどの青サカナに、DHA -ドコサヘキサエン酸…ええい、コンチキショー、舌を噛みそうな!…が、血をサラサラにして、脳を活性化させる働きをすることが巷でも言われるようになったけど。でも、そんなこと中国人が知ってたわけじゃないやね。リクツがあとからきたってわけだね。
   
   食はシンプルに考えよう

 

 さて、『医食同源』てえのは簡単に言えば、体を作り上げるおおかたの要素は食べ物なんだから、そいつを大切にしろってことです。人間に限らず動物ってえは、植物のように光合成が出来ないから、ほかの生物をとって食べて吸収しないと生きていけねえわけだ。
 健康ドリンクとか薬はあくまでサポート。体を作り上げるメインの物質は、何てったって食べ物なんですよ。
 当り前のことですがね。
 なに? それじゃ、何が人間の体にいいのか、人間の体の要素が何でできているのか答えてみろですって? がはははは、お客さん。アンタも人がわるいね。そんなこと簡単に答えられるかよ。

 だから、ワシが言いたいのは、ものごとはシンプルに考えようやってことさ。
 むかしから中国じゃあ、肝臓が調子わるいときはレバーを食べるとかいって、不具合な部分を内臓などの食べ物で補ったりしてますがね。
 そんな考え方ってのはちょっくら短絡的なようですけど、生き物はワシらが思うより、ずうとややこしく複雑に出来とりますから、そのくらい大雑把で大らかなほうが、かえって体に必要な栄養素が網羅できるんです。どんな栄養成分が体にいいのか、科学的にすべて解明されているわけじゃないからね。
 だから最初にワシは言ったでしょう? 地球上のすべての生物を育んできた海には、生命に必要なものが満ちあふれてるって。だから、海産物ってえのは文字通り『海の幸』てえくらい、そりゃあ体に必要なものが揃っている、実にいいもんなんですよ。
 ワシが30年以上も河岸で一日も休まず元気に働いてこれたのも、まいんち新鮮なエビやマグロやホタテをたっぷり食べてきたからに他なりません。

   
 薬膳ってなかなかいいモンだぜ!

 

 けど、インターネットとかいうもんを駆使して、この記事を読もうって方々が、そんな説明じゃいけねえのはワシにもわかります。でも、まずはサカナや海のもんが体にいいっていう、結果というか事実からハナシをはじめましょうや。そうでねえとラチがあかねえもん。

 とはいえ、大まかな話をしようにも、そんな中に大筋つうか、体系っていうものは必要になってくるかな。

 だから…そう! たとえば、薬膳だな。
 薬膳の考え方は、むかしからある経験測による栄養学、医学の代表的なもの。ご存じかもしれませんが、中国にはむかしから陰陽五行説ってもんがございます。こいつは世の中にあるすべてのモンを、陰と陽、それから5種類に分類しちまおうっていう、けっこう強引で乱暴な考えかたなんですが、中には的を得ているものもあるんですね。
 その陰陽五行説のなかで、的を得た言える考え方が薬膳なんですな。

 簡単に言うと、まず人間を陰と陽、つまり冷えやすい寒体質と、ほてりやすい熱体質に分けちまう。(まあ、血液型の性格判断みたいなモンですかな。星座とか動物占いとか…。もっと実際的ですがね)。
 それから味覚を、酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(かんみ、塩辛さの意)の5つに分け、食べ物を、温・熱・平・涼・寒の5つに分けて組み合わせる。その組み合わせのバランスによって、食べることによって、最良の健康状態を引き出せるってシステムです。
 ワシらがあつかうエビなんかは、甘味の分類で温。どちらかといえば、体をあたためる部類に入るそうです。
 まあ、エビはワシらにとっちゃあ真打ちなんで、いずれあとの回でタップリと語り倒させていただきやしょう。ちなみに、これから冬にかけての寒い時期は『天然くるまえびのニンニク風味、チリソース炒め』なんてメニューは、高血圧、心臓病、動脈硬化なんかに良いとされている一品です。

   薬膳の分類方法は5通りずつが基本と、見た目は単純でも組み合わせは無限で、その人の体質や健康状態に合わせて融通無碍に展開します。まあいわば、経験的医学でしょうな。

   
   楽しく食べて、美味しく食べれば、みんな長生き!

 

 経験による栄養学や医学がバカにできないひとつの理由に、さっきも申し上げた人体、それから人間そのものの複雑さ、ややっこしさがあります。
 たとえば、生のイセエビ100gの食品成分は、水分78g、たんぱく質21.2g、脂質1.5g。そのほかにビタミンA、D、E、B1、B2、C。カリウムが何mg、リンや鉄、ナトリウムが何mgでどのくらいなんて具合に数値が出ますよね。
 でもそんな細っかい数字をいくら並べたところで、食い物なんてえのは、とりまく環境や食べ方で変化するもんだ。
 同じイセエビだって旬でバリバリにエネルギーのある頃と、そうでない時じゃ、まるで栄養価はちがうし、成分表に出てきにくい生体エネルギーみたいなモンは全然ちがういますでしょ。
 それから吸収する人間のサイドでも、ストレスのひどい人はビタミンCの消費が激しいとか、同じメシでもヤな野郎と食事をとれば吸収率は低くなるし、反対に気の合う仲間と一緒に楽しく食べると、みんな血や肉になるっていう具合に、そりゃあ環境によって色々変化する。
 それから、エビにはネギやハクサイなどの副材を組み合わせる食い合わせで、栄養効果はがぜんアップするといったカンジで、体にいいわるいは千変万化だよね。
 それに、食べ物ってのは、まいんちまいんち3度3度いただかなきゃいけねえもんだ。数字がどうとかいった、ややこしいことは後回しにしやしょう。(まあ栄養価の裏付けなんかも、回ごとにきちんと説明するけどよ)。
 ワシが言いたいのは、ものごとはシンプルに考えようやってことさ。
 生命力にあふれたものをなるべく丸ごと体にとりいれよう! 美味しい新鮮な食材を美味しく調理して食べれば、みんな幸せに長生きできるってなことだよな。

 さあて、今回はアイサツですけど、これからは毎回、この『イダテンのゲンさん』とその仲間たちが、エビとかホタテとかアナゴとかいった、海のすばらしい食材を楽しく美味しく食べれる情報を送りやす。みなさんの多くはプロだろうから、すぐ役立つことをもりこみますので、どうぞよろしくたのんます。

 ソーソー、ワシはわけあって本名は明かせねえんですが…。ワシが誰だかわかった人は、年末の「イダテンのゲンさんは誰でしょう?」クイズに応募してくだせえ。すばらしいプレゼントをさせていただきます。

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