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商品百科事典
 
海老
 
   ●一般状況
 
 海老の産地は、大正海老・クルマ海老・甘海老等の一部の海老を除く殆どが赤道を挟む南回帰線付近までの間に集中しており、なかでも大きな河川を有する沿岸地域は産卵の適地となっているため好漁場が多い。
 世界の総漁獲量は、190〜200万トン(アジア中近東約60%、中南米13%、欧州約12%北米約12%、アフリカ約2%、オセアニア約1%の比率)となっているが、このうち30%前後が貿易の対象として流通しているといわれている。
 日本の総輸入量は、例年、数量、金額共に前年対比増加で推移していたが、アジア通貨危機の起きた1997年は輸入数量が減少、翌年の1998年には秋口における相場の未曾有の暴落が影響して一転して数量、金額共に前年対比減少となった。1999年の冷凍海老類(シュリンプ&プローン)の輸入量は数量が、24万7314トン、金額は2806億4471万円であった。これは、前年対比、数量で8408トン上回ったものの、金額では562億6688万円の大幅減であり、大暴落からの回復途上であることを覗わせる。
グラフ1
 
 輸入元を国別で見ると、第1位が養殖海老のブームで生産量を増やしているインドで5万2756トン、第2位がインドネシアで5万619トン、次いでベトナムの3万253トン、タイの1万9320トンとなっている。
 ベトナムからの輸入で特徴的なことはムキ海老が多いことで、当該国からの輸入の実に70〜80%を占め、ムキ海老だけで見れば日本の輸入国の1位である。これは、大正ムキ海老の大幅減などによりベトナムのムキ海老がクローズアップされた1993年頃より、ムキ海老に於いてベトナムは絶対的な存在感がある。
 理由としてはムキ海老に適したWhite・Pinkの小型サイズの原料が天然からも養殖からも豊富に供給され、手先の器用な国民により品質の良い状態で生産されていることによる。それに加えて日本国内の人手不足、地価高騰によるキッチンスペースのミニマム化等のさまざまな遠因によるムキ海老ブームによる影響も見逃せない。
 タイにおいては、原料輸出から現地での一時加工を中心とした輸出品に切り替えたのに加え、輸出先において米国市場重視に方針を切り替えたのが影響して、輸入量は減少している。
グラフ2
 甘海老類は、カナダの1万629トン、グリーンランドの1万423トン、次いでロシアの5784トン、アイスランドの2487トン、アルゼンチンの2046トンとなっている。この2〜3年の特徴は東南アジアの産地国が従来の対日集中輸出から欧米市場の開拓に乗り出したこと。既存の養殖企業が抗生物質や細菌繁殖などの諸問題により、集約から粗放化、半集約化への切換えを余儀なくされ伸び率が急速に抑制されつつある事等が上げられる。
 又、インドの最高裁判所において集約養殖の全面禁止が1999年12月に決定されたことからもわかるように(2000年4月になって一部緩和措置がとられたが)「その国にとって重要な産業であっても環境に影響の大きいものは抑制する」といった世界的なコンセンサスが出来上がりつつある。
 つまりは養殖海老の環境に対する影響が大きいといったことが決定的になりつつあるといえる。このため養殖海老の総生産量はこの先頭打ちから減少に転じる観測も出てきている。
グラフ3
 又、最近の傾向としては、海外産地の加工設備・技術の向上が顕著であり、特にタイランドにおいては、優秀な労働力と最新の技術導入により冷凍海老加工品の生産が本格化している。衛生・品質管理が向上し、製品輸入も徐々に増えており、タイランドが日本の食品加工基地として確立しつつあるといっても過言でない。ただし、以前の台湾と同様に東南アジアの中でタイランドは最も経済成長が著しくこのためBlack Tigerの養殖で原料は、インド・ベトナムに重点が移っていくと思われる。
 時によりインドで生産された原料をタイにおいて加工してから日本に輸出するといった3国間貿易、加工貿易も行われており、冷凍水産物における国際分業の時代に突入しつつあるといえる。

 日本国内に目を向けると、その流通形態には1998年の大暴落の影響が未だ色濃く残っている。すなわち、輸入業者、流通業者共に暴落による損害を大きく被り、海老取り扱いの縮小、撤退が続出したことである。特に、輸入業者の寡占化が始まっており、暴落以前に比べて業者数は2分の1から3分の1に減少しているようである。また、末端販売に強い場外問屋、資金力のある商社系問屋、ルート販売網を持った食品・冷食問屋などの異業種の比率が増し、縦型流通を重視する方向に変化してきている。
   
 
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